『鉄槌 隠密船頭(十四)』 『江戸の職人譚 時代小説傑作選』 『天下取』
12月の光文社文庫が本棚に加わりました!
今月は、稲葉稔さんの累計150万部突破の痛快時代小説シリーズ「隠密船頭」の最新刊『鉄槌(てっつい)』、文芸評論家・菊池仁さんのセレクションによる江戸の職人をテーマにした時代小説アンソロジー『江戸の職人譚』、戦国の姫たちが運命に翻弄されながらも力強く生き抜いた姿を描く短編集『天下取(てんかとり)』(村木嵐著)の3作が登場しました。
鉄槌 隠密船頭(十四)
稲葉稔
光文社・光文社文庫
カバーデザイン:片岡忠彦
あらすじ
南町奉行・筒井伊賀守に呼ばれた“奉行の隠密”沢村伝次郎は、迷宮入りとなっている事件の探索を命じられた。事件は五年前、長屋の大家一家が殺害され、容疑者とされた浪人が姿を消したというもの。探索を進める伝次郎。手がかりを掴んだのは、沢村家の居候で小者の与茂七だったが……。熱い友情に胸を打たれるシリーズ第十四弾!
(カバー裏の説明文より抜粋・編集)
ここがポイント
元南町奉行所の定町廻り同心から訳あって一時期、船頭に転じた沢村伝次郎が、悪に立ち向かう痛快時代小説シリーズ。情に厚い一刀流の達人である伝次郎の活躍が光ります。「剣客船頭シリーズ」全20作に続くこのシリーズも14作目を迎え、正義を貫く姿が魅力的です。
目次
第一章 再詮議
第二章 旧友
第三章 情報集め
第四章 女中の行方
第五章 おりき
第六章 湯屋の客
2024年12月20日 初版1刷発行
本文312ページ
文庫書き下ろし
江戸の職人譚 時代小説傑作選
菊池仁・編
光文社・光文社文庫
カバーデザイン:高林昭太
カバーイラスト:小林清親「武蔵百景之内品川見越ノ月」
あらすじ
江戸時代に花開いた職人たちの技と心意気を描いた傑作短編集。小紋の意匠にこだわる魚油問屋の主、物知りの鏡磨き、剣が得意な縫箔屋の娘、熱き魂を持つからくり人形師、禁断の鼈甲細工師、命懸けで藩士のために尽くす鞘師、心優しい錦絵の摺師など、多彩な職人たちの生き様を見事に描いた全7編を収録。
(カバー裏の説明文より抜粋・編集)
ここがポイント
菊池仁(きくち・めぐみ)さんは、時代小説の魅力を伝える名解説者であり、名編者でもあります。本書には、新進作家だけでなく、乙川優三郎さんや南原幹雄さんなど、しばらく時代小説から遠ざかっていた作家の作品も収録されています。そのため、最近時代小説を読み始めた方や、新作を中心に楽しんでいる読者にもぜひおすすめしたいアンソロジーです。
収録作品
夜の小紋 乙川優三郎 (『夜の小紋』講談社文庫)所収
三猿の人 野口卓 (『ご隠居さん』文春文庫)所収
秋草千鳥模様 あさのあつこ (『風を繍う 針と剣 縫箔屋事件帖』実業之日本社文庫)所収
自鳴琴からくり人形 佐江衆一 (『続 江戸職人綺譚』新潮文庫)所収
張形供養 南原幹雄 (『江戸妻お紺』徳間文庫)所収
鞘師 五味康祐 (『剣法秘伝』徳間文庫)所収
かけあわせ 梶よう子(『いろあわせ 摺師安次郎人情暦』ハルキ文庫)所収
解説 菊池仁
2024年12月14日 第1刷発行
本文383ページ
天下取
村木嵐
光文社・光文社文庫
カバーデザイン:野中深月
カバーイラスト:大竹彩奈
あらすじ
戦国の世に翻弄される姫たちの物語。武田信玄の娘・春姫が北条家に嫁ぎ、のちに戻される運命。母・三条の方、初(今川義元の娘)ら、甲相駿三国同盟を繋ぐ政略結婚に従わざるを得なかった姫たち。戦乱の世を生き抜いた彼女たちの強さと哀しさを描く短編集。
(カバー裏の説明文より抜粋・編集)
ここがポイント
村木嵐さんは、九代将軍家重とその側近・大岡忠光の深い絆を描いた『まいまいつぶろ』で、2023年に日本歴史時代作家協会賞作品賞と本屋が選ぶ時代小説大賞をW受賞し、一気に注目を集めました。本書では、武田信玄の妻であり、かつて公家の姫だった三条の方、その娘で北条家に嫁いだ春姫、さらに武田家に嫁いだ今川義元の娘・初など、甲相駿三国同盟の崩壊に翻弄された姫たちが登場します。政略結婚に縛られながらも、力強く生き抜いた戦国の姫たちを鮮やかに描いた物語です。
目次
動かざる
残る幸
春の国
如春様
天下取
鉄炮一挺
解説 細谷正充
2024年12月14日 第1刷発行
本文293ページ
文庫書き下ろし