12月11日(水)、第172回直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会主催)の候補作品5作が発表されました。公式発表はX(旧Twitter)にて行われています。
今回ノミネートされた作品は以下の通りです:
朝倉かすみさん『よむよむかたる』(文藝春秋) ※2回目のノミネート
伊与原新さん『藍を継ぐ海』(新潮社) ※2回目のノミネート
荻堂顕さん『飽くなき地景』(KADOKAWA) ※初ノミネート
木下昌輝さん『秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚』(徳間書店) ※4回目のノミネート
月村了衛さん『虚の伽藍』(新潮社) ※2回目のノミネート
歴史時代小説からの候補作
歴史時代小説に分類される作品として、木下昌輝(きのした・まさき)さんの『秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚』(徳間書店)が候補作に選ばれました。
月村了衛(つきむら・りょうえ)さんの候補作は現代小説ですが、『コルトM1851残月』や『十三夜の焔』など、優れた歴史時代小説も発表されていて幅広く活躍されています。
三十万両もの巨額の借財を抱える徳島藩。その藩政改革を託されたのは、型破りな人物でした。 気鋭の作家・木下昌輝が、現代にも通じる政治改革と経済立て直しを目指す藩主と家臣団の奮闘を描きます。阿波には特産の藍があった――。江戸時代中期の宝暦三年(1753)から明和六年(1769)に起きた徳島藩蜂須賀家のお家騒動の真相に迫る痛快歴史エンターテインメントです!
(amazon.co.jpの内容紹介より抜粋・編集)
ここがポイント
・主人公は徳島藩第十代藩主・蜂須賀重喜。江戸時代中期(宝暦・明和年間)を舞台に、政治改革と経済再建をテーマにした物語。
・木下昌輝さんらしい緻密な歴史描写と、エンターテインメント性が融合した展開が魅力。
・お家騒動とともに描かれる「藍」という文化的要素にも注目できます。
木下昌輝さんの活躍
木下さんはこれまでにも『愚道一休』で第41回織田作之助賞候補となるなど、多くの評価を得ています。また、大阪で「木下昌輝掌編小説教室」を主宰し、後進の指導にも力を注いでいます。
さらに、2024年12月1日に東京ビッグサイトで開催された「文学フリマ東京39」では、「木下昌輝掌編小説教室」ブースで同人誌を販売。同人誌『小説家が小説の創作論をなぜか漫画で書いていた』では、漫画形式で歴史小説の創作論をわかりやすく解説しています。これは初心者にも必見の一冊です!
選考会のスケジュール
選考会は2024年1月15日(水)に都内で開催され、受賞作が決定します。
歴史・時代小説のファンとして、木下昌輝さんの受賞を期待しています。
出典:
なお、「顛末」の「顛」の左部分は「真」ではなく「眞」が正しいもの。