新皇将門|中路啓太|光文社
中路啓太(なかじ・けいた)さんの歴史時代小説『新皇将門(しんのうまさかど)』(光文社)を紹介します。
著者の中路啓太さんより、11月末から「ほんまる」日本歴史時代作家協会の棚で開催される「平安本」フェアに出品されるサイン本をいただきました。
物語のあらすじ
下鴨神社の森で暮らす漂泊の巫女・桔梗。京の権力者たちに請われ、霊視を行った平将門の姿に心を奪われます。それは、朝廷が「鬼」と恐れた人物ではなく、善政を志す溌剌とした偉丈夫だったからです。
運命の悪戯により、桔梗は坂東の地へと向かいます。やがて将門と出会い、その寵愛を一身に受けるようになります。しかし、満ち足りた日々は長くは続きません。桔梗は霊視の力を通じて気付いてしまいます。側近の興世王が纏う不穏な影が、将門を破滅へと導こうとしていることに……。
(『新皇将門』のカバー帯より抜粋・編集)
著者について
中路啓太さんは、2015年に『もののふ莫迦』で第5回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞、2016年には『ロンドン狂瀾』で第7回山田風太郎賞候補となった実力派の歴史時代作家です。
若き日の新井白石を描いたデビュー作『火ノ児の剣』以降、戦国時代を中心に執筆を続け、近年は昭和史にフォーカスを当てた作品も発表されています。
本作『新皇将門』では、初めて平安時代を舞台に、坂東の地で「新皇」を名乗った平将門に焦点を当てています。神田明神に祀られ、江戸幕府からも厚く尊崇された平将門がどのように歴史の舞台に現れ、何を残して散っていったのか――その謎に迫る意欲作です。
史資料を丹念に渉猟し、綿密な取材を重ねた上で独自の視点から描かれる物語は、骨太な筆致に定評のある著者ならでは。今回の新境地にも大きな期待が寄せられています。
今回取り上げた本
書誌情報
『新皇将門』
中路啓太
光文社
2024年11月30日初版1刷発行
装幀:高柳雅人
装画:正子公也
目次
第一章 後ろの目
第二章 黒い影
第三章 経基逃走
第四章 常陸進軍
第五章 新皇誕生
第六章 呪詛返し
第七章 業火
第八章 神鏑
第九章 将門の首
「小説宝石」2023年10月号~2024年7月号掲載作品を加筆修正したもの
本文357ページ