『恋の川、春の町 江戸戯作者事情』|風野真知雄|角川文庫
2024年10月21日から10月31日にかけて刊行される文庫新刊として、「2024年10月下旬の新刊(文庫)」の情報を公開しました。
今回注目するのは、風野真知雄さんによる時代小説、『恋の川、春の町 江戸戯作者事情』です。
本作の主人公は、田沼意次が老中を務めていた安永から天明期にかけて活躍した戯作者、恋川春町。彼は安永四年に『金々先生栄花夢』を発表し、黄表紙という新たなジャンルを切り開いた人物です。
恋川春町というペンネームは、彼が仕えていた小島藩(駿河国の1万石の小藩)松平家の江戸藩邸があった小石川春日町に由来しています。
駿河小島藩に仕える倉橋寿平には、もう一つの顔がある。「恋川春町」の名前で滑稽本を執筆する江戸で人気の戯作者だったのだ。浮世を楽しむため、さまざまな女性のもとを渡り歩く春町のもとに、突如として幕府の大物・松平定信から呼び出しの文が届く。倹約を旨とする幕府の方針に、春町の著作はそぐわないと判断されたのだ――。戯作者の矜持を胸に、命がけの洒落で権力に挑んだ粋人の生涯を描く軽妙洒脱な時代小説。
(『恋の川、春の町 江戸戯作者事情』(角川文庫)Amazonの紹介より)
また、春町は蔦屋重三郎とも親交があり、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」に登場する可能性もあります。
これまで時代小説で取り上げられることが少なく、あまり知られてこなかった人物ですが、本書を通じてその魅力に触れることができるでしょう。風野真知雄さんが、この戯作者をどのように描き出しているのか、非常に興味深いです。
時代小説●2024年10月下旬の新刊情報(文庫)
時代小説●文庫新刊情報|2024年10月下旬の新刊(21日→月末) 2024年10月21日から10月末日の間に文庫で出る時代小説の新刊情報です。 新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。 →新刊情...
■今回ご紹介した本
風野真知雄|時代小説ガイド
風野真知雄|かぜのまちお|時代小説・作家 1951年、福島県生まれ。立教大学法学部卒業。 1992年に、「黒牛と妖怪」で第17回歴史文学賞を受賞しデビュー。 2015年に、「耳袋秘帖」シリーズで第4回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を、『沙羅...