『円かなる大地』|武川佑|講談社
2024年10月1日から10月末日の間に、単行本(ソフトカバー含む)で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2024年10月の新刊(単行本)」を掲載しました。
今月の新刊では、武川佑(たけかわゆう)さんの『円(まど)かなる大地』(講談社)に注目しております。
本書は、戦国時代を舞台に、アイヌの男性と和人の姫が仲間とともに、北海道から秋田まで旅をする冒険時代小説です。
時は戦国、北の大地。謎多きアイヌの壮年・シラウキが人喰いクマの襲撃から助けた少女はなんと、蠣崎氏当主の娘・稲姫だった。礼として居城に招かれるが、それが思わぬ和人とアイヌの戦の引き金を引いてしまう。
稲は己の無知が招いた惨状を目の当たりにして、和睦には自ら打って出ることを決意する。
一方シラウキも稲姫の姿に心打たれ、少年期の惨劇の清算を和睦へと託すのであった。無頼の女傑、女真族、恐山の怪僧……二人は心強い協力者とともに和睦の中人となりうる出羽国・安東氏のもとへ向かう。
果たして二人は、「とこしえの和」を実現することができるのか。
いま最も注目を集めるヒストリーテラーが贈る、乾坤一擲の本格歴史エンターテイメント。(『円かなる大地』Amazon内容紹介より)
アイヌが登場する歴史・時代小説には、どうしても強く惹かれてしまいます。
例えば、泉ゆたかさんの『ユーカラおとめ』、川越宗一さんの『熱源』、河治和香さんの『がいなもん 松浦武四郎一代』、船戸与一さんの『蝦夷地別件』など、書かれた時期も、扱っている時代もそれぞれに違いますが、心に残る作品ばかりです。
それは、アイヌの人々の生きざまを通して、日本人が失ってしまった何かに気づかされるからかもしれませんし、アイヌの言葉の響きが心に触れるからかもしれません。
何よりも、魅力的な人間ドラマが胸を打つのだと思います。本書を読むことが、今から非常に楽しみです。
■今回取り上げた本