啓文堂書店のXのポストによれば、京王線を中心に店舗展開している啓文堂書店全店で2024年7月1日(月)から7月31日(水)の1か月間で、啓文堂書店 時代小説文庫大賞候補作フェアを開催しています。
啓文堂書店の各店で各出版社、おすすめの時代小説文庫を展開していて、フェア期間中の販売部数を基にして「2024年 啓文堂書店 時代小説文庫大賞」を決定するとのことです。
候補作品は以下の10作品です。
宇江佐真理さんの『江戸人情短編傑作選 酔いどれ鳶』(朝日文庫)
2015年に惜しまれながら逝去した時代小説の名手。「びいどろ玉簪」はじめ、本の目利き、菊池仁さんのセレクションによる短編6編を収録。
西條奈加さんの『曲亭の家』(ハルキ文庫)
当代一の売れっ子曲亭馬琴の息子に嫁いだお路。曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路。修羅の家で懸命に見つけた居場所とは……。
井原忠政さんの『うつけ屋敷の旗本大家』(幻冬舎時代小説文庫)
堅物の若き旗本当主の小太郎と、酒・金・女に目がない隠居の官兵衛の親子バディが繰り広げる、痛快ユーモア時代エンターテインメント。
西山ガラシャさんの『おから猫』(集英社文庫)
名古屋城の南にある「おからねこ」の神社。猫神様に願いを叶えてもらおうと、さまざまな事情を抱えた人がやってくる。ユーモア連作短編集。
千野隆司さんの『めおと旅籠繁盛記』(小学館文庫)
青春小説ながらも、追剥退治という勧善懲悪の要素を織り込んで、爽やかで痛快な読み味の時代小説だ。(巻末解説を理流が担当)
喜多川侑さんの『瞬殺 御裏番闇裁き』(祥伝社文庫)
芝居小屋を舞台に芝居小屋の多彩な面々が、座元のもとで、チームプレイで裏番闇裁きを手伝う、闇芝居が楽しい。
武内涼さんの『阿修羅草紙』(新潮文庫)
無駄な殺しはしないくノ一と、手段を選ばない伊賀忍者。正反対の考えを持つ二人は奪われた「呪いの巻物」を取り返すため、京の都に向かう。
富樫倫太郎さんの『ちぎれ雲 浮遊の剣』(中公文庫)
大身旗本の次男坊で、モテモテの色男、麗門愛之助。江戸中を恐怖に陥れていた残虐な盗賊団“煬帝”を、「ある事情」から斬ることに……。
白蔵盈太さんの『実は、拙者は』(双葉文庫)
義賊、忍びに、影御用、幽霊剣士…、登場人物は裏の顔ばかりで結末の予測困難。期待の新鋭が名刺代わりに放つ、超絶時代エンターテインメント。
奥山景布子さんの『浄土双六』(文藝春秋)
籤引きで将軍になった男、銭で乱世を動かす女、育てた子に抱かれる乳母。荒廃した室町時代を舞台に男と女の哀しい人間模様を描く短編集。
候補作には、各出版社(文庫レーベル)が一押し(=一番売りたい)の文庫本が集結しました。
新進気鋭からベテランまで、短編もあれば長編もあり。
単行本の文庫化があれば、文庫書き下ろしもあって、さながら異種格闘技戦のような様相ですが、大賞は一番売れた本が選ばれるということで至ってシンプル。
それゆえ、どういう結果が出るのか大いに気になります。
解説を担当した本をはじめ、読んで面白かった本ばかりです。
フェアを機会に、久々に啓文堂書店に行ってみようと思います。