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「2023年9月下旬の新刊(文庫)」をアップ

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『主君押込 城なき殿の闘い』|辻井南青紀|角川文庫

主君押込 城なき殿の闘い2023年9月21日から9月30日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2023年9月下旬の新刊(文庫)」を掲載しました

今月注目しているのは、角川文庫から刊行される、辻井南青紀(つじいなおき)さんの文庫書き下ろし時代小説、『主君押込 城なき殿の闘い』です。

著者は、2000年、『無頭人』(朝日新聞社刊)で第11回朝日新人文学賞を受賞し、現代小説で活躍後に、2011年に長編時代小説『蠢く吉原』を発表し、本書は時代小説3作目にして、初の文庫書き下ろしとなります。

飯山藩の郡方・大竹五郎左衛門は、筆頭家老の田辺斎宮より発せられた元旦の一斉不出仕令に戸惑いを隠せずにいた。主君・本多重元と、藩政の実権を握る田辺との軋轢が限界にまで来ていたのだ。重元は、元旦に直仕置を発布し、重臣を入れ替えるという。だが、大竹らを待ち構えていたのは、恐るべき惨劇だった。田辺たちに押込を宣言され、斬殺される仲間。さらに重元も、幽閉されてしまうが──。注目の気鋭による書き下ろし。

(『主君押込 城なき殿の闘い』(角川文庫)Amazonの内容紹介より)

主君への忠誠を絶対とする江戸時代ですが、同時にお家の存続を何よりも大事にしていました。主君が暴政や不行跡などでお家の存続を危うくする場合、非常の手段として、家臣たちが合議の上で、座敷牢のようなところに監禁してしまうことを「主君押込」と言います。

暴君ばかりでなく、単なる権力争いの場合もあり、藩主が改革を進めるために下級藩士を重用することで、既得権を維持する重臣たちから反発されて押込められることもあったと。
著者が「主君押込」というワクワクするテーマをどのように描くのか、気になっており、読むのが今からとても楽しみです。

信濃国飯山藩(現在の長野県飯山市)は、実在した藩で、享保二年(1717年)から明治維新まで本多家が治めていました。古くからの家康の譜代家臣である、本多康重の家系(本多豊後守家)ですが、重元という藩主はいかなったようです。

実力派の気鋭の小説家による、文庫書き下ろしということで、楽しみにしています。
著者の時代小説には、ほかに『結婚奉行』(『縁結び仕り候 結婚奉行』)があります。タイトルがユニークで、キャラクターも立っていて、楽しく読めました。
こちらもおすすめです。

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辻井南青紀|時代小説ガイド
辻井南青紀|つじいなおき|時代小説・作家・大学教授 早稲田大学第一文学部仏文専修卒業。京都芸術大学教授。 2000年、『無頭人』(朝日新聞社刊)で第11回朝日新人文学賞を受賞。 時代小説SHOW 投稿記事 幕臣の家庭の安泰を守る、婚活の救世...