『義経じゃないほうの源平合戦』|白蔵盈太|文芸社文庫
2022年12月1日から12月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2022年12月上旬の新刊(文庫)」を掲載しました
今回は、文芸社文庫の新刊に注目。白蔵盈太(しろくらえいた)さんの長編歴史小説、『義経じゃないほうの源平合戦』を取り上げてみました。
著者は、2020年、松の廊下刃傷事件を軽妙な筆致で描いた歴史時代小説「松の廊下でつかまえて」(文庫刊行時に『あの日、松の廊下で』に改題)で、第3回歴史文芸賞最優秀賞受賞してデビューしました。その後も質の高いエンタメ時代小説を発表しています。
鎌倉なんか、来るんじゃなかった。蒲御厨で静かに暮らしていた範頼は、命の危機を感じて頼朝のもとへ来るも、会って早々、兄の怒りに触れ言葉も出ない。ちくしょう、怖すぎるだろ、この兄さま。打倒平家に燃え勇猛果敢に切り込んでいく弟の義経を横目に、兄への報告を怠らず、兵糧を気にする自分の、なんと情けないことか。頼朝と義経、二人の天才に挟まれた平凡な男、源範頼の生きる道。
(『義経じゃないほうの源平合戦』(文芸社文庫)Amazonの内容紹介より)
源範頼(蒲殿)はこれまで「じゃないほう芸人」のように、知略家の頼朝と軍略家の義経という天才の兄弟に挟まれて地味な存在でしたが、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で俳優迫田孝也さんが好演したことで、人気のある人物の一人になっています。
そんな源範頼に光を当て、その人間的な面白さが味わえる歴史時代小説として、本書をとても楽しみにしています。
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『あの日、松の廊下で』(白蔵盈太・文芸社文庫)
『討ち入りたくない内蔵助』(白蔵盈太・文芸社文庫)
『画狂老人卍 葛飾北斎の数奇なる日乗』(白蔵盈太・文芸社文庫)
『義経じゃないほうの源平合戦』(白蔵盈太・文芸社文庫)