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鎌倉ファン騒然。北条義時法華堂跡爆破、「和田義盛」が犯人

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『脳科学捜査官 真田夏希 ヘリテージ・グリーン』|鳴神響一|角川文庫

脳科学捜査官 真田夏希 ヘリテージ・グリーン鳴神響一(なるかみきょういち)さんの文庫書き下ろし現代ミステリー、『脳科学捜査官 真田夏希 ヘリテージ・グリーン』(角川文庫)をご恵贈いただきました。

本書は、神奈川県警で心理職特別捜査官をつとめる、真田夏希が難解な事件に遭遇して活躍する警察小説「脳科学捜査官 真田夏希」シリーズの第11弾です。

神奈川県を中心に、ときにはワールドワイドに展開することもある、当シリーズですが、今回は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の舞台である、鎌倉の街で立て続けに事件が発生します。

神奈川県警の心理職特別捜査官の真田夏希は、鑑識課の小川とともに鎌倉の鶴岡八幡宮へ初詣に出かけた。だが、爆破事件の発生により、2人は捜査本部に招集されることになる。事件は北条義時法華堂跡で爆破が発生し、その後「ワダヨシモリ」を名乗る者から脅迫文が送られてきたのだ。北条氏ゆかりの寺を爆破するという犯人は、何等か歴史的な因縁があるのか。接触を試みる夏希に対し、犯人は前代未聞の要求を突きつける――。

(本書カバー裏紹介より)

2021年1月1日、真田夏希は、神奈川県警の鑑識課警察犬係に勤務する巡査部長小川に誘われて、鎌倉幕府を開いた源頼朝が築いた鶴岡八幡宮に初詣に訪れ、鎌倉デートを楽しもうとしていました。

ところが、鎌倉市内で爆発事件が起こり、小川に、警察犬のアリシアを連れて臨場するように出動命令が下りました。
夏希も、翌朝早々に鎌倉署の捜査本部に直行するように命令を受けました。

 ――松が明ける七日までの間に、恨み重なる北条氏ゆかりの鎌倉の寺を次々に爆破する ワダヨシモリ

(『脳科学捜査官 真田夏希 ヘリテージ・グリーン』P.20より)

鎌倉市内にある、北条義時法華堂跡で、小規模な爆発が起こりました。広々とした草地で、石碑と看板が立つだけで建物は存在しない場所で、一部の歴史ファン以外は観光客も訪れない場所で、事件当時も誰もいなかったために、人的被害はなく草が焦げた程度で済んでいました。

ところが、その夜遅くに、県警相談フォームに、「ワダヨシモリ」と名乗る者から7日までの間に、北条氏ゆかりの鎌倉の寺を次々に爆破すると脅迫文が送られてきました。

ワダヨシモリ(和田義盛)とは、平安末期から鎌倉初期の武将で御家人です。鎌倉幕府の初代侍所別当(軍事長官)をつとめ、後に北条氏に反旗を翻した人物です。
「鎌倉殿の13人」の13人の一人で、ドラマでは横田栄司さんが演じられます。

「で、和田義盛は義時に滅ぼされたわけね」
「はい、北条氏の権力をたしかなものとするために、義時は和田氏や比企氏を滅ぼしたり、畠山重忠を討ったりしています」

(『脳科学捜査官 真田夏希 ヘリテージ・グリーン』P.471より)

本書では、新しキャラクターとして、小堀沙羅巡査長が捜査一課に配属されてきて、石田三夫巡査長とバディを組んで、捜査に参加しています。
フランス人の血を引くモデルのような容貌の沙羅は、藤沢出身で、中高生の頃から鎌倉オタクということで、その後の事件にも深くかかわっていきます。

北条ゆかりの鎌倉の寺といっても五十以上あり、三が日で初詣でにぎわう中、警備をするのも大変です。

夏希が爆破犯に、かもめ★百合としてメッセージを送ると、前代未聞の要求が届きました。それは夏希にとって絶対嫌なことであり、警察の威信にもかかわることでした……。

最大のピンチに立ち向かう夏希に感動を覚え、このシリーズのファンでいてよかったと思いました。

脳科学捜査官 真田夏希 ヘリテージ・グリーン

鳴神響一
KADOKAWA 角川文庫
2022年1月25日初版発行

文庫書き下ろし

カバー写真:Matt Henry Gunther/ The Image Bank/ Getty Images
カバーデザイン:舘山一大

●目次
第一章 北条義時法華堂跡
第二章 夏希オンステージ
第三章 たび重なる不幸
第四章 ラストステージ

本文279ページ

■Amazon.co.jp
『脳科学捜査官 真田夏希』(鳴神響一・角川文庫)(第1弾)
『脳科学捜査官 真田夏希 ヘリテージ・グリーン』(鳴神響一・角川文庫)(第11弾)

鳴神響一|作品ガイド
鳴神響一|なるかみきょういち|時代小説・作家1962年、東京都生まれ。中央大学法学部卒。2014年、『私が愛したサムライの娘』で第6回角川春樹小説賞を受賞してデビュー。2015年、同作品で第3回野村胡堂文学賞を受賞。■時代小説SHOW 投稿...