『歴史人 2022年1月号』||ABCアーク
歴史情報マガジン、『歴史人 2022年1月号』(ABCアーク)を紹介します。
思えば、時代小説が好きになる昔から、地名や名字の由来にはずっと惹かれていました。しかしながら、そういったことをわかりやすく解説してくれる本に出合うことがなく、もやっとしていました。
第1特集:地名の歴史をたどる 地名に秘められた日本人の歴史とは? 地名発祥の古代、中世の荘園、江戸三百藩、そして明治の廃藩置県から現在の47都道府県に至るまで 地名の歴史をたどります。 [地名&地形]由来名字ランキングBEST50発表! そのほか、日本人の名字と地名、地名の基礎知識、[時代別]地名の成り立ち、江戸地名30の由来、 全国「歴史」地名由来事典、戦国武将ゆかりの地名、地名の「歴史雑学」など、地名の歴史に迫ります。
第2特集:伊能忠敬図完成200年――伊能図は何がスゴイのか? 55歳で偉業に挑戦した伊能忠敬とはなにものか? 伊能図の真骨頂とは?測量隊の仕事から道具までを徹底解説。 【別冊付録】大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に関連する365日歴史出来事付き2022年「平安・鎌倉カレンダー」が付いています!!(Amazonの紹介文より)
『歴史人 2022年1月号』は、長年の悩みに答える、待望の特集です。
地味で真面目な特集ながら、引き込まれて、貪るように読み進めました。
現代では「姓名」や「氏名」という具合に、姓と名字は同じ扱いだが、そもそも姓は天皇から与えられた公的なもの、名字は私的に名乗るものという違いがあった。名字は所領の地名や居住地付近の地形など、身近なものから名付けられた。
(『歴史人 2022年1月号』P.11より)
大化の改新で功績があった中臣鎌足に天智天皇から授けられた「藤原」や、天皇家から分家して臣下となった血縁者に与えられた「平」「源」「橘」といったものが姓です。
平安時代の歴史時代小説を読んでいると、藤原姓の登場人物だらけになり、誰が誰だかわからなくなってしまうのも、こうした事情があったんですね。
貴族たちも姓では氏族を区別することが難しく、京の一条や三条、九条といった自分たちの屋敷があった場所や、徳大寺のような寺院の名を使ったり、名字を使うことで、藤原姓の中でも区別がつくようにしました。
また、もともとの姓に支配地の名を合わせた名字を名乗るものも出てきました。
「伊勢の藤原氏」で「伊藤」、「遠江の藤原氏」で「遠藤」など。
なるほど。
武士が主役となった鎌倉時代、自らの支配地を明確にするため、姓とは別に支配地の地名を名乗る。こうして地方に名字が広まったのだ。
(『歴史人 2022年1月号』P.11より)
渡辺や中村、佐々木など、地名に由来する日本人の名字ベスト50を掲載しています。
豊富なカラー図版を交えて、70ページを超える特集は、読み応え十分です。
第2特集では、写真もGPSもない200年前に日本中をくまなく歩いて、日本初の実測地図『大日本沿海輿地全図』を完成させた、伊能忠敬の生涯と足跡を振り返ります。
49歳で隠居し、50歳で江戸に出て幕府天文方の高橋至時に弟子入りして測量を学び始めます。
55歳ときに測量の旅を始めて、73歳で亡くなるまで、「生涯現役」で学び続けた忠敬のことを知ると、何かを始めるに遅すぎることはないということに気づかされます。
特別付録の「平安・鎌倉2020年カレンダー」は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にちなんで、平安から鎌倉時代の戦いを描い屏風絵や錦絵とともに、「今日は何の日?」が記されています。来年部屋に飾りたいと思います。
歴史人 2022年1月号
ABCアーク
2021年12月6日発行
題字:武田双雲
表紙デザイン:FROG KING STUDIO
写真・イラスト協力:伊能忠敬記念館、国立国会図書館
●目次
保存版特集
[地名の歴史]をたどる
日本人の名字と地名
地名の基礎知識
時代別 地名の成り立ちを紐解く
真説 江戸の地名30の由来
全国「歴史」地名由来事典
地名は災害を警告している!
知れば知るほど語りたくなる地名雑学
第2特集
伊能忠敬 55歳からの夢と偉業
5つのトピックから知る 「伊能図」の世界
伊能忠敬人物関係図
「生涯現役」で学び続けた忠敬の73年間
「思想」と「財政」の風雲児 山田方谷
明治のイノベーター 大隈重信
別冊付録 2022年「平安・鎌倉」カレンダー
オールカラー本文125ページ
■Amazon.co.jp
『歴史人 2022年1月号』(ABCアーク)