昨年の暮れ以来となる久々の泊りがけの旅行です。コロナ禍での旅行ということで不安もありましたが、今は経済活動とのバランスを取りながら、ニュー・ノーマルに対応していく段階にあるように思っています。
移動の電車。バスの中ではマスク着用。ホテル館内でも、食事時と入浴時を除いてマスクは手放せません。
資料館や美術館など、施設入場時には検温とチェックシートの記入し、3密にならないよう小人数でソーシャルディスタンスを取って、というように、新型コロナウイルスの感染症拡大に注意することが徹底されていました。
そういった自主的な感染拡大予防に抵抗なく、易々と対応している人たちをみると、日本において公衆衛生が浸透していることをあらためて気づかされます。
山梨県出身の有名人といえば、林真理子さんがまず思い浮かびます。
直木賞を受賞し、エッセー、恋愛小説、現代小説から歴史時代小説まで作品の多くがベストセラーとなっています。テレビにも出演され、おなじみです。
山梨市生まれで、山梨県立日川高等学校、日本大学芸術学部を卒業されています。
ところが、林さんの著作物については、食わず嫌いのところがあって、現代小説ばかりか、歴史小説に関しても、読んでいませんでした。
ちょうど、山梨県立近代文学館で、「まるごと、林真理子展」が開催されていて、迷わず閲覧しました。
県立近代文学館を訪れたのは、2016年秋の「北杜夫展」以来、2回目です。
田舎の文学少女が、東京に出て時代の寵児となり、文壇のミューズとなっていく、源泉は何だったのでしょうか。
ストーリーテラーと言葉選びのセンス、旺盛な好奇心とサービス精神、努力と幸運、作家、林真理子を形作っているものが少しわかったように思われました。
展示を見終えて、林さんの小説をほとんどスルーしてきたことを大いに悔い、『西郷どん』や『正妻 慶喜と美賀子』など、これを機に、その歴史・時代小説に向き合ってみたいと思いました。
11月13日(金)には、林真理子講演会「小説に描いた人々」が予定されています。
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『野心のすすめ』(林真理子・講談社現代新書)
『西郷どん! 並製版 上』(林真理子・KADOKAWA)
『正妻 慶喜と美賀子(上)』(林真理子・講談社文庫)