2020年6月1日から6月30日の間に、単行本(ソフトカバー含む)で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2020年6月の新刊(単行本)」を掲載しました。
今月は、中央公論新社から刊行される、吉川永青(よしかわながはる)さんの『憂き夜に花を』を紹介します。
戦国時代を中心に歴史時代小説を書いてきた著者には珍しい、江戸時代を取り上げた作品です。
時は享保。江戸の町は飢饉に沈み、失業者、果ては餓死者までが出る始末。為政者ですら救えないこの町を、文字通り明るく照らそうとする男がいた。花火師・六代目鍵屋弥兵衛。困った人を放っておけないこの男は、江戸中の人を放っておけなかった――!
弥兵衛は自らの小さな工場に仲間を集め、ある計画を練り始める。大川(のちの隅田川)で、将軍の号令のもとに行われる「水神祭」。その場に江戸中の人を集め、一世一代の大仕掛けを披露することであった。
(Amazon内容紹介より)
毎年7月最終土曜日に開催される隅田川花火大会は、前年に大飢饉によって江戸で多くの死者が出たことにより、享保十八年(1733)に、死者供養と災厄除去を祈願を目的に、両国の川開きの日に打ち上げられたことが始まりといわれています。
本書は、そのエピソードを題材にして、江戸を代表する花火師六代目鍵屋弥兵衛を主人公に描く時代小説です。
新型コロナウイルスの感染症拡大防止のために、毎年恒例の花火大会の開催中止が相次いで発表されて、今年の夏は暑苦しく、そして少し寂しいものになりそうですが、来年の花火を楽しみにしながら、江戸の花火師の物語を堪能したいと思います。
単行本★2020年6月の新刊
単行本★時代小説新刊情報|2020年6月の新刊(1日→末) 2020年6月1日から6月30日の間に、単行本(新書含む)で刊行される時代小説、歴史関連書の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンク...
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『憂き夜に花を』(吉川永青・中央公論新社)
吉川永青|時代小説ガイド
吉川永青|よしかわながはる|時代小説・作家 1968年、東京都生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。 2010年、「我が糸は誰を操る」で第5回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞。 2012年、『戯史三國志 我が槍は覇道の翼』で第33回吉川英治文学賞...