『からころも 万葉集歌解き譚』
2020年5月1日から5月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2020年5月上旬の新刊(文庫)」を掲載しました。
緊急事態宣言下でのゴールデンウイークということからか、5月上旬の新刊点数は少なめです。
今回は、小学館文庫から刊行される、篠綾子さんの『からころも 万葉集歌解き譚』を紹介します。
本書は、日本橋の薬種問屋で働く小僧(少年)の助松が、失踪した父の行方の手がかりとなる日記を読み解くために、万葉集の和歌を学んでいく物語です。
日本橋の伊勢屋で奉公する助松には、父親の大五郎がいた。しかし、一年半前に伊勢屋の仕事で富山に出かけたまま、行方不明になっていた。父は、助松に日記を残していた。このことは決して他人に話さないように言われた。日記には和歌らしきものがいくつも書かれている。
伊勢屋の一人娘しづ子は助松より六歳上で、和歌が好きで賀茂真淵に学んでいた。そして、店の大切な客人である占い師の葛木多陽人も和歌に造詣が深かった。多陽人は京都生まれの京都育ちで、回りがぽかんと見惚れてしまう程の美男子だった。助松は、二人に事情を知らせずに日記に記された歌の意味を少しずつ、教わっていた。
ある日、体調を崩した大友主税という若い侍を助けたことがきっかけで、しづ子に和歌を学びに主税が訪れるようになった。しかし、主税がしづ子に近づいたのは別の理由があったのだった。その後、しづ子は密かに姿をくらましてしまう。
大五郎としづ子の失踪には、関連があったのだ。日記に記された和歌の数々には、どんな意味があったのか。一連の謎は解き明かされるのか――。
万葉集の和歌が面白さが判る、新シリーズ!
(Amazonの内容紹介より)
本書は、謎解き物語を楽しみながら、万葉集の秀歌も学べる、贅沢な時代小説です。
著者には、平安歌人の在原業平が和歌に託された謎を解く王朝ミステリー、『月蝕 在原業平歌解き譚』の著作もあります。
■Amazon.co.jp
『からころも 万葉集歌解き譚』(篠綾子・小学館文庫)
『月蝕 在原業平歌解き譚』(篠綾子・小学館文庫)