時代小説を集中的に読み始めて10数年が経つが、その作品をほとんど読んでいない時代小説家が何人かいる。主義主張があって読書リストから外しているわけではなく、ボタンを掛け違えたように、なぜか読むきっかけがつかめないという事情だ。杉本苑子さんはその筆頭の一人。
名作を一通りカバーするという読書スタイルではなく、新刊の文庫を中心に読むべき本をリストアップしていくことが多いせいかもしれない。第48回直木賞を受賞した『孤愁の岸』をはじめ、『穢土荘厳』、『檀林皇后私譜』など、奈良、平安時代から江戸時代まで幅広いテーマで作品を書かれている。
今まで、家康の側近本多正純を描いた『汚名』を以前に読んだきりだ。正純の不正、罪科を探る隠密の眼から描くという視点も面白かった。現役の作家の方であるが、最近、文庫での新刊の刊行が少ないということが読む機会が少ない原因かもしれない。
そんな中で、昭和六十三年に刊行された文庫の新装版という形だが、『冬の蝉』という短篇集が刊行された。これを機に杉本さんの作品にじっくり取り組んでいきたいと思う。
- 作者: 杉本苑子
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コメント
こんにちは。初めまして。私も時代小説好きの33歳の男です。鬼平に20代前半にどっぷりはまり、剣客商売を嬉々として読み、そんな最中に生まれた息子に「大治朗」と名付けてしまいました(そのままでは芸が無いので朗の字だけ変えました)。「武家用心集」と「深川澪通り木戸番小屋」を交互に読み次いでいます。2ヶ月になる娘が居るので、そうそうゆっくりも読めていないんですけど。こちらのブログをきっかけにもっと時代小説に恋してみたいと思う今日この頃です。
杉本苑子さんの名前を見つけてにっこりしている私です。梓澤要さんが師と仰ぐかただそうです。すべてとまでは言いませんが読んでおります。「玉川兄弟」が面白かったと
記憶しています。機会がありましたらお読みください。文庫で無いときはお近くの図書館をあたるのも良いかも・・古荘多聞さんの本図書館で見つけることが出来ました。早速予約をしましたので今から楽しみです。
だいじろうさん、ようこそ。お子さんに大好きな時代小説の主人公の名前をつけるというのは素敵ですね。お嬢さんは三冬さんだったりして。時間ができたら、また見に来てください。
宮山さん、古荘多聞さんの『瓦版屋左吉綴込帳』が見つかってよかったですね。杉本さんは、自分の中では手付かずで残していた金鉱だと思っています。これから楽しみです。