A4サイズの歴史ムック本、『ワイド&パノラマ 日本の城 天守・櫓・門と御殿』(学研プラス・学研ムック)を献本いただきました。
ミリタリー・戦史マガジン「歴史群像」を発行する学研プラスから2019年12月に刊行された、オールカラーの大型ムック本です。
同社では、『日本100名城公式ガイドブック』をはじめ、日本の城に関する出版物を発行し、『超ワイド&パノラマ 鳥瞰イラストでよみがえる歴史の舞台』など、写真や精密なイラスト、CGを多用した美麗でグラフィカルな誌面で定評があります。
迫力の折込24城ほか、全27城の復元ビジュアルに、写真や図版満載。
美しさと機能が融合した究極の建造物の姿!
天守の誕生から、望楼型の隆盛、層塔型の発達、巨大天守の構造、櫓や門が林立し御殿が建ち並ぶまで、城郭建築の変遷もよくわかる。
細密な鳥瞰・復元イラスト、CG、学術模型を、細部までよくわかる大きさで掲載。復元に携わる専門家ならではの明解な解説とともに、築城者と職人たちが目指したものを再現する。幻の安土城天主復元案も複数収録!
(本書カバー帯の紹介文より)
監修は、大河ドラマ『麒麟がくる』の建築考証を担当し、城郭建築の第一人者である、三浦正幸さんです。
ドラマに登場する、斎藤道三の居城稲葉山城をみると、当時の城郭がイメージできて興味深いです。本書には、明智光秀が築城した丹波亀山城の、江戸時代後期の姿を描いた鳥瞰復元イラストも掲載されているのも興味深いです。
ところが今日、近世城郭の跡を訪れると、かつて城内に建ち並んでいた櫓や城門は、土塀も含めてそのほとんどが失われてしまい、天守ですら全国に十二棟しか残っていない。
(中略)
そこで、往時の城の雄姿を知るには、復元模型や復元イラスト、あるいはCG、VRといった映像が便利である。本書に収録した復元イラストは、近世城郭の栄光の時代を知るには強い味方となる。
(『ワイド&パノラマ 日本の城 天守・櫓・門と御殿』「はじめに」P.2 より)
監修者による「はじめに」を読むと、往時の城が現存しているケースは少ないがゆえに、本書に収録された、城の復元イラストは近世城郭の美しさを知る上で貴重なものであることがわかります。
正確な復元図を描くために、城跡に残る石垣や土塁、堀、櫓、城門などの遺構を詳しく調査し、古絵図、古地図、古文書、古写真を収集して詳細に分析し、失われた石垣や堀、櫓や城門などを一つずつ復元していくという、膨大な手間と時間がかかります。
本書には、そんな気の遠くなるような作業を経て出来上がった貴重な復元イラストが多数収録されています。
『信長公記』の内容を詳細に検討して作成したという、安土城天守復元CGは、A3サイズの折込を広げると、目の前にその雄姿が飛び込んできて圧倒され、しばらく見とれてしまいました。
今後は、よりリアルなイメージをもって、信長が登場する戦国時代小説を読むことができそうです。
●掲載城一覧
安土城(天守 御殿)/豊臣大坂城(天守)/岡山城(天守 櫓 門)/広島城(天守 御殿)/熊本城(天守 櫓 門)/福井城(天守)/丹波亀山城(天守)/淀城(天守)/小倉城(天守)/名古屋城(天守 御殿)/津山城(天守)/八代城(天守)/大垣城(天守)/和歌山城(天守)/二条城 寛永度(天守)/徳川大坂城(天守 櫓 門)/江戸城 寛永度(天守)/福山城(櫓 門)/江戸城 弘化度(御殿)/松本城(御殿)/姫路城(御殿)
■Amazon.co.jp
『ワイド&パノラマ 日本の城 天守・櫓・門と御殿』(三浦正幸監修・学研プラス・学研ムック)
『日本100名城公式ガイドブック』(財団法人日本城郭協会監修・学研プラス・学研ムック)
『超ワイド&パノラマ 鳥瞰イラストでよみがえる歴史の舞台』(歴史群像編集部編・学研プラス・学研ムック)