辻堂魁(つじどうかい)さんの文庫書き下ろし時代小説、『希みの文(のぞみのふみ) 風の市兵衛 弐』(祥伝社文庫)を入手しました。
1月3日(金)午後9時より、2020年NHK正月時代劇として、「そろばん侍 風の市兵衛SP ~天空の鷹~」が放送されます。
「風の市兵衛」シリーズで、傑作のひとつ、第5巻『天空の鷹』が原作。“そろばん侍”唐木市兵衛を向井理さんが、かつて“相馬の鷹”と呼ばれた老侍を寺尾聰さんが演じるのも楽しみです。
唐木市兵衛に返り討ちにされた刺客の一族が、復讐を誓い市兵衛の身辺探索を始めた。一方、大坂に情が移り江戸への出立を渋る小春を、亡姉の親友お茂が訪ねてきた。幼馴染みが辻斬りに遭い、生死の境をさ迷っているという。犯人捜しを始めた市兵衛だったが、己れの居場所を刺客に突き止められてしまう。良一郎らを先に発たせた市兵衛は、自ら死の罠に飛び込み……。
(Amazonの紹介文より)
市兵衛は盟友で江戸の北町奉行所定町廻り方同心・渋井鬼三次から、幼馴染みで扇子職人の養女・小春と欠け落ち同然に大坂へ旅立った、倅・良一郎を連れ戻すことを依頼されました。本書は、大坂での市兵衛の活躍を描く「弐 大坂編」の第三弾です。
大坂は、市兵衛が若き日に商いの修業をした地でもあります。
柳丈は、この世の果敢なさを噛み締めた。そして自分のしたことの始末を自らつけるのみ、勝たねばならぬ、と腹の中で戒めた。
「唐木市兵衛、次はわたしだ。わたしを越えていけるか……」(『希みの文 風の市兵衛 弐』P.21より)
彦根藩井伊家に、重職として勤め隠居した保科柳丈は、不肖の弟・野呂川伯丈、文武に抜きんでた友・室生斎士郎を失い、市兵衛との対決を誓います。
一方、大坂に来て三月近くが経ち、市兵衛は、小春の亡くなった姉の朋輩お茂の幼馴染みの辻斬りの犯人捜しを依頼されて、いまだに良一郎らを江戸に連れ帰ることができずにいました。
本書には、サイドストーリーとして、2018年に発覚したシェアハウス不正詐欺を想起させるような事件が描かれていて、その顛末も気になります。
目次
序章 小橋墓所
第一章 詮議所
第二章 武家奉公人
第三章 光陰
第四章 鈴鹿越え
終章 大坂便り
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『縁の川 風の市兵衛 弐』(辻堂魁・祥伝社文庫)(大坂編第1作)
『天満橋まで 風の市兵衛 弐』(辻堂魁・祥伝社文庫)(大坂編第2作)
『希みの文 風の市兵衛 弐』(辻堂魁・祥伝社文庫)(大坂編第3作)