武内涼(たけうちりょう)さんの長編歴史時代小説、『駒姫 三条河原異聞』(新潮文庫)を入手しました。
駒姫は、山形十九万石の太守、最上義光の十五歳になる娘です。東国一の美少女として名高く、天正十九年(1591)、九戸政実の乱の討伐軍を率いた豊臣秀次に見初められて、側女に望まれました。
山形十九万石を治める最上義光の愛娘で東国一の美少女と称される駒姫は、弱冠十五歳にして関白秀次のもとへ嫁ぐこととなった。が、秀次は太閤秀吉に謀反を疑われて自死。遺された妻子には非情極まる「三十九人全員斬殺」が宣告された。危機迫る中でも己を律し義を失わない駒姫と、幼き姫に寄り添う侍女おこちゃ。最上の男衆は狂気の天下人から愛する者を奪還できるか。手に汗握る歴史小説!
(本書文庫カバー裏の紹介文より)
文禄四年(1595)七月、秀次は、秀吉によって謀反の疑いをかけられて高野山にて自刃しました。本書は、その約一月前から始まります。
関白秀次に嫁ぐべく山形から都に上る駒姫の一行は、越後の柏崎から直江津に、北国街道を南下していました。京では、いかなる運命が駒姫を待ち構えているのか……。
伝奇時代小説『妖草師』シリーズで活躍が目覚ましい著者による、スリリングな物語を一気読みで楽しみたいと思います。
昨年、山形市の最上義光歴史館(山形では義光は領土を最大化した武将としてヒーローでした)を訪れて、駒姫と三条河原の事件に関する記述の展示を読み、理不尽な思いを抱いたことが思い出されます。
★目次
序
一章 一、潮鳴り
二、黒棚
三、暇日
四、聚楽へ
二章 一、指月城
二、一の台
三章 一、隠れ家
二、施薬院
三、紅の花
四、剣気
四章 一、巨椋池の女
二、厩にて
三、秋の鴨川
四、専称寺
解説 縄田一男
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『駒姫 三条河原異聞』(武内涼・新潮文庫)
『妖草師』(武内涼・徳間文庫)