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迷い熊と千葉の小天狗、卑劣な道場破りに猛る

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長屋道場騒動記(四) 迷い熊猛る芝村凉也さんの文庫書き下ろし時代小説、『長屋道場騒動記(四) 迷い熊猛る』(双葉文庫)を入手しました。

本書は、心優しき巨躯の剣士「迷い熊」こと、間野生馬が悪を討つ、痛快人情活劇シリーズの第四弾です。

いまだ弟子不在とはいえ、無事再開した間野道場に、他流試合を望む二人の浪人者が現れた。丁重に断りを入れる生馬に強引に立ち合いを求めた二人だったが、傍若無人な振る舞いに怒った生馬に、あっさり叩き出されてしまう。
一方、玄武館では、江都に名高い師範代の千葉栄次郎との対戦を熱望する二刀流の廻国修行者が現れ――。
(本書カバー裏の紹介文より)

間野生馬のささやかな道場が建つ弁慶橋のすぐ近くの神田お玉が池に、江戸でも一、二を争うような大道場北辰一刀流玄武館があります。流派と道場の創始者は剣豪千葉周作。

物語の時代、玄武館は周作の長男奇蘇太郎(きそたろう)が師範、次男栄次郎が師範代を務め、江都最大級の道場として隆盛を誇っていました。

その玄武館では、道場の高弟を相手に、千葉の小天狗と呼ばれる栄次郎が北辰一刀流の体系にない、左手を刀身に添えて剣尖で水月を突く技を遣ってみせました。

「兄者。さっき兄者が遣ったのは、我が北辰一刀流の技ではありませんせんよね」
 問い掛けてくる弟へ、嘘を言うわけにもいかず曖昧に応える。
「するとやっぱり、あのお人の?」
(『長屋道場騒動記(四) 迷い熊猛る』P.68より)

師範代の栄次郎に対して、千葉周作の四男坊で末弟の多門四郎(たもんしろう)は、好奇心旺盛に尋ねます。

栄次郎は、生馬と親しくしている中で、生馬の遣った技「信抜流居合、裏刀切」を目撃して試してみたのでした。

さて、本書では、生馬の道場に二人の浪人者が道場破りが現れます。生馬はあっさりと彼らを撃退しますが、それは災厄の前触れにすぎませんでした。一方の玄武館にも、二刀流の遣い手が現れて……。

幕末の剣術事情がわかり、臨場感豊かなチャンバラシーンが堪能できる痛快剣豪小説シリーズは四巻目に突入して、ますます快調です。

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『長屋道場騒動記(四) 迷い熊猛る』(芝村凉也・双葉文庫)
『長屋道場騒動記(三) 迷い熊阻む』(芝村凉也・双葉文庫)
『長屋道場騒動記(二) 迷い熊衛る』(芝村凉也・双葉文庫)
『長屋道場騒動記(一) 迷い熊帰る』(芝村凉也・双葉文庫)