高木彬光(たかぎあきみつ)さんの往年の捕物小説をオンデマンド本として復刊した、『千両文七捕物帳 第一巻』(捕物出版)を入手しました。
高木彬光(1920年9月25日~1995年9月9日)さんは、『能面殺人事件』や『白昼の死角』などで知られる推理作家です。源義経の北行説をテーマにした歴史ミステリー『成吉思汗の秘密』を十代の頃に読んで、歴史のロマンに触れて、大きな衝撃を受けました。
時代・歴史小説も執筆されていて、そのいくつかは春陽文庫で刊行されていました。
従来の単行本、文庫本への未収録作品17編を含む、総計35編を収録した千両文七捕物帳の決定版。執筆年代順に収録した3巻からなる事実上の全集。
第1巻には千両文七捕物帳の第1作「鬼の腕」の他、女天一坊、雪おんな、七化け猫、悲恋女掏摸、女賊紫蜘蛛、刺青の女、物をいう生首、白鬼草紙、白首大尽、天狗の仇討ち、どくろ観音、夏姿千両文七―幽霊の文、毒蛇娘の14編を収録。
このうち、鬼の腕、七化け猫、悲恋女掏摸、女賊紫蜘蛛、物をいう生首、夏姿千両文七-幽霊の文、毒蛇娘の7編は単行本未収録作品である。
表紙には、主人公の千両文七が初代国定描く三代目尾上菊五郎の一枚絵に瓜二つという設定であることから、国定描く三代目尾上菊五郎の一枚絵の画像を使用している。
(Amazonの紹介文より)
本書は、江戸後期に活躍した、歌舞伎役者三代目尾上菊五郎に瓜二つというところから、「千両文七」と呼ばれる捕物名人の活躍を描いた捕物帳です。
そういえば、青い月代の剃り跡から、大きな目、通った鼻筋から堅く結んだ唇まで、人を惹く魅力たっぷり、大向こうから、「音羽屋」という声が掛かりそうな所、それも江戸切っての捕物名人で、然も当年二十九、まだ一人者というのですから、江戸中の若い娘達の恋心を燃え上がらせたのも無理がありません。
(『千両文七捕物帳 第一巻』「鬼の腕」P.1より)
第一話「鬼の腕」は、羅生門の鬼の腕斬りをした渡辺綱を想起させる怪事件を、一の子分の「合点の勘八」が親分の文七に知らせるシーンから始まります。
イケメンの主人公と江戸情緒と推理が堪能できる、本格的な捕物小説を楽しみたいと思います。
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『千両文七捕物帳 第一巻』(高木彬光・捕物出版)