和田はつ子さんの文庫書き下ろし時代小説、『口中医桂助事件帖 さくら坂の未来(さき)へ』(小学館文庫)を入手しました。
本書は、江戸の歯医者さん、口中医の桂助が次々と襲ってくる難事件に立ち向かいながら、仲間たちと絆を深めていく、人気シリーズの第16巻にして、最終巻となります。
湯島聖堂のさくら坂で〈いしゃ・は・くち〉を開業して、虫歯に苦しむ人を助ける桂助を支えるのが、房楊枝職人の鋼次と幼馴染みで医者の娘志保です。
桂助と鋼次は、虫歯の治療に行くという妹のお房に横浜の居留地まで同行した。そこで、エーテル麻酔で痛みを感じさせずに、機械で虫歯を取り除くという最新治療を目の当たりにする。歯科医のウエストレーキから、日本の木床義歯の優秀さと、医療用以外で阿片の仕様が広まる懸念を告げられた桂助は、謎の死を遂げた同心の友田が阿片密輸の大本に迫っていたことを知って、桂助はその真相に迫っていく。
そして遂に、探し求めていた志保と再会を果たした桂助は、できるだけ抜歯をしない歯科治療を目指して、新たな世界へ旅立つのだった。大人気シリーズ、感動の最終巻!
(本書カバー裏の紹介文より)
本書の第一話で、桂助は元側用人・岸田正二郎の依頼で、三千石の旗本の若君の歯抜きを行います。そして、「抜かずに治したい」という思いをさらに強く募らせていきます……。
今回は、開港まもない横浜も舞台となっていて、当時の情景が描かれているのも読みどころの一つです。
「歯の痛みに苦しむ人がなくなる」という桂助の思いは届くのか、さくら坂の面々の未来がどのように開けていくのか。この大河ドラマの大団円を楽しみに、物語の世界に戻ります。
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『口中医桂助事件帖 さくら坂の未来へ』(和田はつ子・小学館文庫)(第16作)
『口中医桂助事件帖 南天うさぎ』(和田はつ子・小学館文庫)(第1作)