誉田龍一(ほんだりゅういち)さんの文庫書き下ろし時代小説、『日本一の商人(ひのもといちのあきんど) 茜屋清兵衛奮闘記』(角川文庫)を入手しました。
泉州・堺を舞台に、戦国の世から糸割符(いとわっぷ)制度で商売を大きくした、絹織物を扱う縮緬問屋の茜屋。大坂に商いの修行に出ていた若旦那・清兵衛が店に戻ってきて、三代目を継ぐところから物語は始まります。
日の本一の「江戸店持、京商人」を夢見て大坂の大店に修行に出た清兵衛。だが急遽、実家に呼び戻されたことから、彼の悲劇が始まる。江戸以前から続いた縮緬問屋が見事につぶれかけていたのだ。父の左之助は放蕩の限りを尽くし、店の資金はおろか、今日の米まで買えない始末。店の番頭や手代も怠け放題。さらに、頼みの綱の借り入れも八方塞がり。絶望的な状況で、三代目を継いだ清兵衛は、粘りの商人魂で店の再建を目指す。
清兵衛が持ち前の商才を生かして、潰れかけている店をいかに立て直していくのでしょうか。笑いあり涙あり、苦労の連続の商売繁盛記の始まりです。
清兵衛の父で遊び人の左之助、番頭の徳次郎との掛け合いもおかしく、松竹新喜劇の1シーンのように楽しめます。
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『日本一の商人 茜屋清兵衛奮闘記』(誉田龍一・角川文庫)