歴史家・安藤優一郎さんの『龍馬を継いだ男 岩崎弥太郎』を読んだ。岩崎弥太郎は、三菱の創業者であり、明治の経済人として知られている。
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しかしながら、どのようにして三菱を興したのか、幕末・維新に何をしていたのかに、スポットが当たることはあまりなかったと思う。NHK大河ドラマ「龍馬伝」では、龍馬と同じ土佐出身でひとつ年上の岩崎弥太郎の視点を通して描かれるという。この岩崎弥太郎を「坂の上の雲」の正岡子規約の香川照之さんが演じるのも興味深い。
NHK大河ドラマ「龍馬伝」
エラー - NHK
さて、『龍馬を継いだ男 岩崎弥太郎』では、天保五(1834)年生まれの岩崎弥太郎の幕末と維新の活動について、『岩崎弥太郎伝』などを引用しながら、余すところなく紹介している。
弥太郎が生まれたころの岩崎家(当主は父の弥次郎)は、地下浪人(じげろうにん)という、土佐藩独自の階級に属していた。農村に住んでいるが、元郷士(龍馬の坂本家は郷士)で、武士階級ながら藩士に準じる立場だったことがわかる。この地下浪人という立場が弥太郎の幕末の言動に大きな影響を与えたものと思われる。
幕末の土佐藩の経済活動と龍馬の海援隊を想起するが、弥太郎は土佐藩の経済官僚として、海援隊を資金面で支える立場にあったことがわかった。「龍馬伝」の中で、このあたりがどのように描かれていくのか気になるところ。1つのドラマによって、新たな人物にスポットが当たり、新しい知見が増えることが面白い。龍馬ばかりでなく岩崎弥太郎を描いた時代小説も読んでみたいと思った。
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