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強すぎるがゆえの試練―『宣告 密命・雪中行』

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佐伯泰英さんの『宣告 密命・雪中行』を読む。「密命」シリーズの第20巻目にあたる。

宣告 ―密命・雪中行(巻之二十) (祥伝社文庫 さ 6-44)

宣告 ―密命・雪中行(巻之二十) (祥伝社文庫 さ 6-44)

将軍吉宗公主催の大剣術大会が十一月に催されることになり、金杉清之助は越後・寺泊で、江戸に向かう年若い姉弟と同道することになる。三島染井と房太郎という名の姉弟は、村上藩の重大な使命を帯びていて、道中を次々と刺客が襲う。一方、そのころ、江戸の父・金杉惣三郎の口からは驚くべき宣告が発せられていた…。

前作で将軍吉宗の厳命による、上覧大剣術大会が発表されてから、主人公・金杉清之助の武者修行がどのように終わり、その成果をどのように表していくのか、気になっていた。最近の惣三郎と清之助の父子の剣が一段高いところに達して、強すぎて、初期のころのようなスリリングさが薄らいでいただけに、本格派の剣豪のライバル出現が待たれたところである。

そんなファンの要望にこたえてか、佐伯さんはとっておきのキャラクターを用意していた。この展開に、マンガの『巨人の星』を思い出してしまったのは私だけだろうか。さらに高みを目指すための試練というべきか。ともかく、オズマや伴宙太並みのライバルの出現が次巻以降で楽しめそうだ。

また、今回は、長岡藩奉行七家筆頭の息子・鶴見冬次郎が修行中の清之助を助ける剣友として、重要な役回りで登場するのにも注目したい。

おすすめ度:★★★★

現在の読みかけ:『禁中御庭者綺譚 乱世疾走』(海道龍一朗著・新潮文庫)

禁中御庭者綺譚 乱世疾走 (新潮文庫)

禁中御庭者綺譚 乱世疾走 (新潮文庫)