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懐かしい昭和の味を食べ歩きたくなった

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グルメでも食いしん坊でもなく、食べることについては関心があまりないので、ガイドブックに載るような有名店にはほとんど行ったことがない。もちろん、ミシュランガイドで★が付いているような店など、懐ばかりかマナーも心配で、敷居が高くて近づけない。

東京に30年近く住んでいる大人としてはらなんとも体たらくなことだ。

MICHELIN GUIDE東京 2008 (2008)

MICHELIN GUIDE東京 2008 (2008)

しかし、森まゆみさんの『「懐かしの昭和」を食べ歩く』を読んで、本に掲載されているお店で行ってみたくなった。おでん、焼鳥、餃子、鰻の蒲焼、大阪寿司、台湾料理、サンドイッチなど、親しみやすくそれでいておいしそうなものばかりが紹介されていて、たまらなく食べたくなった。

「懐かしの昭和」を食べ歩く (PHP新書)

「懐かしの昭和」を食べ歩く (PHP新書)

「うちは下町の天丼屋ですからね。白っぽくさらっと揚げるお座敷の天麩羅じゃありません。コースで二万円なんて店には、なんかコンプレックスがありますよ(笑)。

 材料を手でこしらえて、ごま油主体の高温でからっと、きつね色に揚げる。それを、ご飯が見えないくらいたっぷり丼に盛り付ける。つゆの味は下町風で、やや濃い目。でも材料じゃあ、よそに負けないつもりです」

(『「懐かしの昭和」を食べ歩く』P.44より)

土手の伊勢屋のご主人のことばだが、心意気を感じる。

著者の森さんは、谷中・根津・千駄木の地域雑誌「谷根千(やねせん)」の発行人で、『鴎外の坂』などの著書がある、明治以降の東京の名ガイド人である。単にお店の雰囲気や料理を紹介するだけでなく、創業時からのエピソードなどを店主から引き出されていて、知的なガイドブックになっている。池波正太郎さんの『散歩のとき何か食べたくなって』に通じる魅力がある一冊。お店の人や名物料理のほかに、お店の周辺の写真も掲載されていて、食べ歩きにいい。

鴎外の坂 (新潮文庫)

鴎外の坂 (新潮文庫)

散歩のとき何か食べたくなって (新潮文庫)

散歩のとき何か食べたくなって (新潮文庫)

読み終えた後、同じ著者で、この前に書かれた『明治・大正を食べ歩く』をアマゾンに注文した。

明治・大正を食べ歩く PHP新書

明治・大正を食べ歩く PHP新書

コメント

  1. snowy;yukino より:

    楽しそうな本の紹介 いつも頼りになっておりまする♪
    たまには書いておかないと!と思って書いてみました。
    今度の日本行きのショッピングリストを増やすのにとっても
    役にたっているのですよ。
    ありがとうござります。
    xx