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鎌倉河岸の面々が川越を行く

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佐伯泰英さんの『代がわり』を読む。鎌倉河岸の酒問屋豊島屋に集う四人の若者(政次、亮吉、彦四郎、しほ)の活躍を描く「鎌倉河岸捕物控」シリーズの第十一弾。

物語は、亮吉がむじな長屋の厠にしゃがみ、うんうん唸っているところから始まる。しほの従姉妹で、川越藩小姓組の静谷理一郎の妻の春菜からしほに送られてきた甘藷を食べ過ぎてお腹を壊したのである。その頃、富岡八幡宮や浅草などで、六、七人の子どもたちが参詣に来た年寄りから、巾着を奪い取る事件が続けて起こった。そして、増上寺の門前で金貸しの老人が四人の少年たちに刺し殺されて巾着が奪い去られる事件が起きた。事件の謎を追う、金座裏の若親分・政次と手先たち。そして、祝言を控えた政次としほを巻き込む新たな騒動が、しほの亡き両親の故郷である川越で起こった…。

今回の見所は、政次、亮吉の二人が事件を解決するために川越を訪れ、そこに祝言の準備でやってきたしほと彦四郎と合流し、活躍をするところ。タイトルから伝わるように、祝言を機に世代交代が進むことを示唆し、シリーズが大きなターニングポイントを迎えたことを気づかせている。

佐伯さんの時代小説は、2007年6月に発売された『烏鷺 密命』『初心 密命』で100作品に達した。10年に満たない短期間での記録である。本当にすごいことだと思う。現在の時代小説ブームの最大の恩人の一人といえる。

烏鷺―密命・飛鳥山黒白〈巻之十六〉 (祥伝社文庫)

烏鷺―密命・飛鳥山黒白〈巻之十六〉 (祥伝社文庫)

初心―密命・闇参篭〈巻之十七〉(祥伝社文庫)

初心―密命・闇参篭〈巻之十七〉(祥伝社文庫)