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武芸十八般のヒーロー、柘植新三郎

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曽田博久さんの『万両剣』を読んだ。二十歳にして武芸十八般の目録を得た貧乏御家人の三男坊、柘植新三郎が活躍する「新三郎武狂帖」シリーズの第二弾である。前作の『千両帯』がバツグンに面白くて、今回も期待して読んだ。

柘植新三郎が居候する冨美豊の屋敷に、若い娘が三味線の弟子入りにやってきた。名を多恵といい、甲州から行儀見習に来ている十八の娘である。そんなある日、新三郎は何者かに襲われている多恵を助けた…。

『千両帯』が時代小説には珍しい経済ものの要素を持っていたのに対して、今回は、伝奇小説色が強い作品になっている。武芸十八般を修めた新三郎の武狂ぶりが面白い。師匠の平山行蔵を想起させる。このシリーズの魅力の一つは、武芸の修得に邁進する中で、若さゆえに人の道で迷い葛藤する新三郎がちゃんと描かれていること。次回作が楽しみなシリーズの一つである。