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愉しいチャンバラ小説の時間は終わり

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荒崎一海さんの『孤剣乱斬』を読み終えた。『闇を斬る』シリーズの最新刊だが、3カ月に1作のペースで刊行され、気がつけば7作目になる。主人公鷹森真九郎の振るう弧乱の剣、霧月が、卑劣な悪事の限りを尽くす集団“闇”の頭目・鬼心斎の繰り出す刺客たちと対決するのが最大の見所。

今回は、江戸の香具師の元締で、真九郎の妻の雪江に一人娘おはるを弟子入りさせている、浅草の甚五郎の子分の二人が、闇に殺されるところから始まる。しかも、同じ頃江戸で付け火が頻発する…。

闇の執拗な攻撃で、真九郎の前に、三人、四人、五人と数限りなく刺客が送り込まれる。その都度、撃退していく真九郎のチャンバラシーンの描写が迫力がある。人が殺されていて不謹慎ではあるが、刺客は悪人であり、愛する者を守るためにやむをえず剣を交わすという事情もあって、バッタバッタと気持ちよいほど斬っていくので、スカッとする。佐伯泰英さんの時代小説に相通じるところがある。

この『孤剣乱斬』でシリーズ最終巻を迎える。終盤近い第四章に「血涙」というタイトルの章もあり、ファンをやきもきさせる。結末には触れないが、作者の次のシリーズが大いに期待される仕上がりになっている。