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幕末上海を舞台にした冒険小説

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白石一郎さんの『生きのびる』を読み始めた。「横浜異人街事件帖」の第二弾にして、完結編になる作品だ。主人公の衣笠卯之助は、元南町奉行所定町廻り同心で、今は横浜で沖人足をするかたわら、神奈川奉行所与力塩田正五郎に頼まれて岡っ引きを務めている。

横浜異人街事件帖 (文春文庫)

横浜異人街事件帖 (文春文庫)

生きのびる―横浜異人街事件帖 (文春文庫)

生きのびる―横浜異人街事件帖 (文春文庫)

横浜では、南京人による犯罪が激増し、神奈川奉行松平石見守康直は、老中に願い出て火付盗賊改方の力を借りることになる。横浜に乗り込んできた火盗改の与力立花源吾は、南京街の手入れをするが、逆に相手の罠にはまって殺され、生首を奉行所の門前にさらされることになる。それは、南京街の悪者たちの首領張竹芳の仕業だったが、彼はすでに上海に逃れていた。面目を潰された松平康直は激昂して正五郎に密命を下す……。

舞台は横浜から上海に移る。異国での卯之助、正五郎らの行動は、冒険小説のようなスリルとサスペンスを加えて、がぜんスケールアップしていく。ページを繰るたびにワクワク感が高まっていくような物語。早くこのエントリーをアップして、続きを読みたい。

白石さんが亡くなられたのが、2004年9月20日だから、ちょうど2年が経過したことになる。最晩年の作品が新に文庫化されたわけであるが、そのタイトルが「生きのびる」とは、なんだかせつないなあ。