米村圭伍さんの『紀文大尽舞』を読み始めた。
「沖の暗いのに白帆がみえる あれは紀の国蜜柑船」
と、カッポレの唄にも歌われた、紀伊国屋文左衛門のみかん伝説が紹介されていた。
貞享二年(1685)の秋、紀州有田は、例年になくみかんが大豊作だった。収穫されたみかんを江戸に運ぼうとしたが嵐のために船は出せなかった。江戸の鍛冶屋たちが毎年、旧暦の11月月8日に祝う鞴(ふいご)祭りの日が近づいてきました。この祭りには鍛冶屋たちが屋根からみかんをばら撒く風習があった。紀州から船が来ないために、みかんは品薄で価格は高騰していた。
江戸にみかんを運べば、巨万の富が得られる。千載一遇のチャンスに、若き日の文左衛門は、舅の高松河内から大金を借りてみかんを買い集め、おんぼろの船で、荒くれの船乗りたちを率いて、怒濤の熊野灘、遠州灘へ向けて一身を賭けて船出した。
命がけで運んだみかんは江戸で高く売れて、文左衛門は嵐を乗り越えて江戸の人たちのために頑張ったと、江戸っ子の人気者になった。ちなみに、帰り船には江戸から塩鮭を上方に運び、当時流行っていた流行り病の特効薬に塩鮭が一番とデマを流して、高値で売ったという。しかし、このみかん伝説には資料が何も残っておらず疑う人もいるという。そういえば、紀文には、吉原で豪遊したのは息子のほうとする、親子二代説もある。
紀文がみかんを運んだという船の模型は、
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『紀文大尽舞』で紀文をもっと楽しもう。紀伊国屋文左衛門を描いた作品としては、残念ながら絶版らしいが、津本陽さんの『黄金の海へ』という作品もある。
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