「木枯し紋次郎」シリーズで知られる笹沢左保さん。2002年(平14)10月21日に肝細胞がんのために71歳で亡くなられた笹沢さんの遺作『海賊船幽霊丸』を読み始めた。380冊目で最後の著作となったこの作品は未完で、最終章を30年来の盟友の森村誠一さんが補筆されたという。
森村誠一オフィシャルサイト 笹沢左保特集
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(このサイトでは、同じく森村さんの盟友で推理小説家だった、故山村正夫さんの小説入門教室の紹介もされていて興味深い。宮部みゆきさんのほかにも錚々たる顔ぶれの作家たちが輩出されたことがわかる)
さて、『海賊船幽霊丸』は、笹沢作品では珍しい、海洋冒険小説である。関ヶ原の合戦から九年、伊予水軍の来島海賊衆を率いる湯野新八郎は、瀬戸内の無人島で八割がた完成した軍船を見つけた。徳川幕府の支配を嫌い、自由を求めた海賊衆は、この船を幽霊丸と名づけて、南方の大海原を目指して旅に出た……。
「木枯し紋次郎」の第一作『赦免花は散った』の表題作で描かれた三宅島から島抜けのシーンなど、海洋小説といってもいい面白さがあったことを、思い出した。
十数年前に時代小説を読み始めたころから、海洋冒険ものが大好きで、とくに白石一郎さんの『海狼伝』や『サムライの海』などにワクワクしたものだ。しかし、海洋時代小説のジャンルは、航海中のシーンなどの描写が難しいせいか、作品数が少ない。そんな中でこの作品が読めることはありがたい。そういえば、隆慶一郎さんの『見知らぬ海へ』も海洋時代小説で遺作の一つになっている。
海を感じる時代小説ベスト10
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