池宮彰一郎さんの『天下騒乱 鍵屋ノ辻』を読了。単なる仇討ち劇の描写にとどまらず、江戸政権確立期の大事件として、スケール感大きく描かれていて面白かった。他の作品では脇役や敵役に回ることが多い、老中土井利勝の存在感が圧倒的。家康以後の幕府の統治体制づくりに命を懸け、実際に幕府が二百年も続くことになるわけだから、その卓越した大局観、政治感覚はもっと高く評価すべきであろう。
池宮さんの時代小説では、「義」がテーマになることが多い。「義=我に美しく」ということで、立ち居振る舞い、生き様と死に様、出処進退など、武士にはそのスタイル自体が問われているという。『天下騒乱 鍵屋ノ辻』の主人公の荒木又右衛門など、「義」を通した人物として、凛として美しく男から見ても魅力的である。
テレビ東京系の新春ドラマ「天下騒乱 徳川三代の陰謀」では、西田敏行さんが土井利勝を演じている。正月の放送を見逃したが、原作が見どころが多くて多彩な登場人物が登場して面白かったので、やはり見るべきだった。テレビ東京さんには、今年の暮れには再放送をぜひお願いしたい。
テレビ東京「天下騒乱 徳川三代の陰謀」
http://www.tv-tokyo.co.jp/tenka/
- 作者: 池宮彰一郎
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