買いためていた本の中から、迷った末に佐伯泰英さんの『雷鳴』から読み進めることにした。講談社文庫でスタートした、「交代寄合伊那衆異聞」シリーズの第2弾である。
ファンにはよく知られていることだが、佐伯さんは「密命」「居眠り磐音江戸双紙」「吉原裏同心」「夏目影二郎始末旅」「古着屋総兵衛影始末」「鎌倉河岸捕物控」「酔いどれ小籐次留書」など、多くの人気シリーズを持っている。しかも、すべてがこの5、6年のことである。
かつて、隆慶一郎さんが彗星のように時代小説界に出現し、短い期間に多くの名作・傑作を遺し、多くの人たちに強い影響を与えて世を去られたことがあった。時代小説ファンの拡大や文庫書き下ろしという出版スタイルの確立など、それに匹敵するインパクトがある。
今度の『雷鳴』は、旗本ながら伊那に領地を持ち参勤交代を課せられた「交代寄合伊那衆」の座光寺家にスポットを当てている。伊那衆のほかに、交代寄合衆には那須衆四家(那須家・福原家・芦野家・大田原家)、美濃衆(高木一族・西・東・北の三家)、三河衆(松平家・中嶋家)がほかにある。伊那衆は信濃阿島二千七百石知久家、信濃伊豆木千石小笠原家、信濃山吹千百十五石座光寺家の三家からなる。
第1作の『変化』で、旗本当主に成り代わった座光寺為清(ざこじためすが)に課せられた宿命を描く。為清のふるう信濃一傳流の秘剣「天竜の暴れ水」も見どころ。さあ、続きを読もう。
- 作者: 佐伯泰英
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/12/15
- メディア: 文庫
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