『十兵衛両断』が新潮文庫から刊行された。待ちに待った荒山徹作品の文庫化。荒山さんといえば、『高麗秘帖』『魔風海峡』など、豊臣秀吉の朝鮮出兵をテーマにした伝奇時代小説が掟破りの面白さだったことからもっとも注目している作家の一人だ。
歴史を朝鮮側からもディテールまで調べつくしたうえで、山田風太郎を想起させる奔放な空想力を駆使して、波乱万丈の物語を紡ぎ出す、荒山さんの技量の大きさにただただ舌を巻いたものだ。
今回は、剣豪小説でおなじみの柳生家と柳生十兵衛を取り上げている。柳生家というと、五味康祐さんの『柳生武芸帳』や隆慶一郎さんの『吉原御免状』をはじめとする一連の著作などで、描かれた重要なテーマの一つ。荒山さんが、どんなふうに柳生の剣を描くか興味深々、ワクワクしてきた。
- 作者: 荒山徹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/09/28
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