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公事宿事件書留帳 悪い棺(1)

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澤田ふじ子さんの「公事宿事件書留帳」シリーズの最新文庫を入手した。シリーズ第九作めにあたる『悪い棺―公事宿事件書留帳〈9〉 幻冬舎文庫』の目次をみると、「黒猫の婆」と「お婆の御定法」という2つの「婆」がタイトルに付いた話が目にとまる。現代社会の歪みや病理に対しての問題意識が時代小説の執筆動機になることが多い作者だけに気になるところだ。

難しいことはともかく、このシリーズは、公事宿という現代の弁護士事務所が舞台になっている。主人公の田村菊太郎は、その公事宿に居候する、元同心組頭の嫡男。菊太郎と彼をとりまく人々が活躍する人情味あふれる連作捕物小説である。京の文化や風俗が全編に描かれているのも魅力の一つ。しみじみと味わって読みたい。

悪い棺―公事宿事件書留帳〈9〉 幻冬舎文庫

悪い棺―公事宿事件書留帳〈9〉 幻冬舎文庫

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