宇江佐真理さんの『斬られ権佐 (集英社文庫)』を読んでいたら、興味深い記述があった。
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権佐も父親の次郎左衛門と同じ仕立て屋である。だが、仕事の傍ら、南町奉行所与力、菊井数馬の小者を務めるという裏の仕事も引き受けていた。
嫁の実家にいる権左のことを入り婿と陰口を叩く者もいたが、権左も権左の両親も、今ではさほど気にしていなかった。
権左は帯の後ろにいつも緒のついた十手を挟み、横には青色の捕り縄をぶら下げていた。
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(P58)
作者の説明によると、青色の捕り縄は南町奉行所のものと定められていて、北町奉行所のものは白であった。享保の頃は四季によって青(春)、朱(夏)、白(秋)、黒(冬)と使い分け、土用には黄色い縄を使っていたそうだ。中国の風水を取り入れているようで、江戸時代の半ば頃までは、捕物も悠長というか風情があったというべきか。
三田村鳶魚さんの江戸学(時代考証もの)で、捕物の様子をじっくり調べてみたくなった。
- 作者: 三田村鳶魚,朝倉治彦
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/09
- メディア: 文庫
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