第161回直木三十五賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が2019年7月17日(水)築地・新喜楽で開催され、6作品の候補作の中から大島真寿美さんの『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び(うず いもせやまおんなていきん たまむすび)』が受賞作に決まりました。
『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』は、「妹背山婦女庭訓」や「本朝廿四孝」などの名作を生んだ、江戸時代、大坂の人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた時代小説です。
江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章。末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、芝居小屋に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。
近松門左衛門の硯を父からもらって、物書きの道へ進むことに。弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった半二。著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した長編小説。
(Amazonの内容紹介より)
久々に時代小説が直木賞を受賞し、大変喜んでいます。
大島さんは、18世紀のヴェネツィアを舞台に描いた『ピエタ』や、女性たちの心の交流を描いた現代小説で活躍された後、明治初期の花火づくりに懸けた男を描いた『空に牡丹』に取り組み、本書が本格的な時代小説デビュー作です。
受賞作は、大坂弁の軽妙な語り口が新鮮で、浄瑠璃の世界が興味深く描かれていきます。
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『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(大島真寿美・文藝春秋)