この週末、上野公園にある東京国立博物館平成館で開催中の、「特別展 三国志 Three Kingdoms Unveiling the Story」を見てきました。
当日は梅雨寒で雨の中にもかかわらず、20分の入場規制が敷かれる盛況ぶりでした。
後漢が衰退し世情が大いに乱れた2世紀末から3世紀にかけて、華北の曹操、四川の劉備、江南の孫権などが覇を競い、魏・蜀・呉の天下三分の形勢が定まりました。三国時代(220~280)の始まりです。
戦いが続く三国時代は、多くの英雄たちが駆け抜けた時代でもあり、正史「三国志」や小説「三国志演義」によって多くの人々に知られるところとなりました。
日本でも、横山光輝さんのマンガ、コーエーテクモ(コーエー)のゲーム、NHKで放映された人形劇、そして吉川英治さんや北方謙三さんらの小説で、ファンも多くなじみ深い題材です。
今回の展示は、日中文化交流協定締結40周年記念と題したもので、三年以上の準備期間を経て、中国の五十を超える博物館や研究機関から、多くの貴重な文物を精選して展示しています。
とくに興味深かったのは、2009年に河南省安陽市で発掘された、曹操の巨大な墓「曹操高陵」からの出土品、「魏武王常所用挌虎大戟(ぎのぶおうつねにもちいるところのかくこだいげき)」と刻まれた石牌(せきはい)や罐(かん)と呼ばれる白磁の壺とともに、会場内に再現された曹操の墓室でした。
曹操は、自身の葬儀では、亡骸を着飾ったり棺を豪華にしたり、金玉財宝を副葬したりせずに、簡潔にするように遺言した薄葬を命じたそうです。
展示を通じて、あらためて実在の人物だったのだという実感と、三国志の敵役ながら魅力にあふれる曹操の素顔に触れた思いがします。
展示では、横山光輝さんの『三国志』から「桃園の誓い」の名シーンのマンガ原画や、NHKテレビで放映された「人形劇三国志」で使用された、人形美術家・川本喜八郎さん作成の主要キャラクターの人形の展示もあり、ファンにはうれしいところです。
ピーク時に行ったせいもあり展示会場内はたいへん混み合っていて落ち着いて閲覧ができなかったので、図録の『三国志 Three Kingdoms Unveiling the Story』を購入して、家でじっくりと三国志の世界に浸っています。
なお、会場内は全作品撮影OKです。
■Amazon.co.jp
『三国志 Three Kingdoms Unveiling the Story』(九州国立博物館、 東京国立博物館企画編集・美術出版社)
『横山光輝三国志大百科 永久保存版』(横山光輝著、潮出版社コミック編集部編集・潮出版社)