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時代小説界の至宝、葉室麟さん、66歳で死去

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蒼天見ゆ時代小説家の葉室麟(はむろりん)さんが、12月23日に、福岡市内の病院で死去されました。66歳でした。

昨日、ネットで訃報を知りましたが、すぐにはその事を受け止められませんでした。まだまだたくさんの素晴らしい時代小説を書いてほしいと思っていたので、時代小説ファンの一人として悲しい思いでいっぱいです。

葉室麟さんは、2005年に『乾山晩愁』で第29回歴史文学賞を受賞してデビュー。2012年に『蜩ノ記』で第146回直木三十五賞を受賞し、2016年には『鬼神の如く 黒田叛臣伝』で第20回司馬遼太郎賞を受賞されています。

武家社会の中、苛酷な運命に翻弄されながらも、人としての矜持を失わずに気高く生きる主人公を描き、多くのファンを持っています。
50冊を超える単行本を刊行し、ここ数年の精力的な創作ぶりは目を瞠るものがありました。
歴史・時代小説の分野をリードする作家であるばかりか、時代小説界の宝といえる大きな存在です。

「おすすめの時代小説を教えて」とおすすめ本を聞かれることがあります。会社員など組織に属している男性の場合、葉室麟さんの作品を挙げることが多くあります。葉室作品は傑作ばかりで、紹介すると喜んでいただけました。

さて、個人的に思い入れのある作品として、『銀漢の賦』と『霖雨』の2作を紹介します。

『銀漢の賦』を読み終わった後、自分の白くなり始めたた髪(銀漢)にちょっと誇りが持てました。仕事で辛くなったときなど、繰り返して読んで元気をもらっています。

『霖雨』は、文化文政期に儒学者・漢詩人として活躍した広瀬淡窓(ひろせたんそう)の半生を描いた時代小説です。剣や政治的な活躍ぶりはみせませんが、当代一流の文化人ながら、地方に腰を据えて門人たちを教える、筋が一本通った生き方に深く静かな感動を覚えました。

淡窓は、豊後国日田に私塾「咸宜園(かんぎえん)」を設立しました。咸宜園は文化2年(1805)~明治30年(1897年)まで続き、身分・出身・年齢などによる差別をなくした「三奪の法」でも知られ、多くの門下生を輩出しています。

謹んでご冥福をお祈りします。

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『蒼天見ゆ』(角川文庫)
『乾山晩愁』(角川文庫)
『蜩ノ記』(祥伝社文庫)
『鬼神の如く 黒田叛臣伝』(新潮社)
『銀漢の賦』(文春文庫)
『霖雨』(PHP文芸文庫)

→作家の葉室麟さん死去 「蜩ノ記」で直木賞|NHK NEWS WEB