早瀬詠一郎(はやせえいいちろう)さんの文庫書き下ろし時代小説、『江戸大決戦 幕府瓦解の日』がコスミック・時代小説文庫より刊行されました。
2018年の大河ドラマ「西郷どん」で注目される江戸城開城。幕府瓦解の日に向けて、江戸を守るべく奔走する幕末の英雄たちを活写した時代小説です。
「頭、いざとなったら江戸の町に火を付けてくれ」――慶応四年二月、陸軍総裁勝海舟は火消しの棟梁新門辰五郎に頼み込んだ。京で朝敵となった徳川慶喜が帰還後、恭順して籠る江戸城を目標に、薩長率いる東征軍が迫り来る寸前である。
「火消しが火付けをしろって、下らなすぎる洒落だ」――だが、勝は本気だった。百万の民を大量の船を使って房総へ苦し、敵の侵入に合わせて町を焼き尽くすことを画策していた。
そんな勝の肚のうちを読んだのが、敵の参謀ながら盟友の西郷吉之助である。このまま江戸に入れば甚大な被害を見る。ならば談判に応じるしかない。そしてついに、勝と西郷の決死の会見が実現する……。
勝安房守海舟、新門辰五郎、山岡鉄太郎(鉄舟)、高橋精一郎(泥舟)、小栗上野介忠順、三野村利左衛門、西郷吉之助(隆盛)、大久保一蔵(利通)、益満休之助、清水の次郎長など、幕末の英雄たちが続々と登場します。
著者の早瀬さんは、1952年に東京生まれ。放送作家・脚本家として活躍された後、2000年に井伊直弼を描いた『萩大老』で作家デビューをされています。
一方で江戸の古典芸能浄瑠璃 「新内」の継承者の一人で、岡本紋弥(おかもともんや)の名を持ちます。
『町人若殿 左近司多聞』シリーズや『出世若殿 田河意周』シリーズなどの痛快ものから、人情ものまで幅広いテーマで時代小説を書かれています。
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『江戸大決戦 幕府瓦解の日』
『萩大老』
『町人若殿左近司多聞』
『出世若殿田河意周―雨後の月』