先週末に、駒込・六義園近くにある、東洋文庫ミュージアムで開催されている「安政の大地震展」へ行ってきました。
東洋文庫は、東洋学の研究図書館です。
三菱第三代当主岩崎久彌氏が1924年に設立した、東洋学分野での日本最古・最大の研究図書館であり、世界5大東洋学研究図書館の一つに数えられております。
その蔵書数は国宝5点、重要文化財7点を含む約100万冊にも及びます。
岩崎久弥が、北京駐在のタイムズ記者や中華民国の総統府顧問を務めていたジョージ・アーネスト・モリソンの所蔵する、中国に関する欧文文献の膨大なコレクション(モリソン文庫)を購入したことに始まります。
「妙法蓮華経」、「史記秦本紀」、「文選」、「ドチリーナ・キリシタン」など、東洋文庫の貴重な史資料は、『記録された記憶』(東洋文庫編・山川出版社)で、詳しく解説されています。
所蔵品の図録が完売していて、英語版だけだったので、代わりにミュージアムショップで入手しました。
本書で取り上げている史料:甲骨文字/魏志倭人伝/広開土王(好太王)碑文/古事記/日本書紀/枕草子と源氏物語/御成敗式目/東方見聞録/永楽大典/鄭和の航海図/東インド航海記とリンスホーテン航海記/支倉常長使節記/国姓爺御前軍団/日本誌/改撰江戸大絵図/ロビンソン・クルーソー漂流記/西洋紀聞と蝦夷志/準回両部平定得勝図/殿試策/解体新書/国富論/マリー・アントワネット旧蔵イエズス会書簡集/チベット大蔵経/風俗金魚伝/ペリー久里浜上陸図/和英通韻伊呂波便覧/ニコライ2世の東宝旅行記 など
江戸時代に計12回来日した、朝鮮通信使一行の風俗を描いた「朝鮮風俗図巻」を見て、植松三十里さんの時代小説『千両絵図さわぎ』を思い出しました。
また、収蔵物の一つ、日本最初の西洋解剖書の本格的な翻訳書「解体新書」は、前野良沢、杉田玄白、中川淳庵らが「ターヘル・アナトミア」を訳出したもの。
吉村昭さんの『冬の鷹』は、「解体新書」成立の過程を克明に再現した長編小説です。
企画展の「安政の大地震展」では、古事記や日本書紀に記録された地震から、「鯰絵」で知られる地震諷刺絵や安政の大地震を伝える瓦版まで、歴史資料で日本の災害が概観できます。
安政の大地震を描いた時代小説では、真保裕一さんの『猫背の虎 大江戸動乱始末』がおすすめの一冊です。
■Amazon.co.jp
『記録された記憶』(東洋文庫・編)
『千両絵図さわぎ』(植松三十里)
『冬の鷹』(吉村昭)
『猫背の虎 大江戸動乱始末』(真保裕一)
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