植松三十里(うえまつみどり)さんの文庫書き下ろし小説、『家康の母お大』が集英社文庫より刊行されました。
水野忠政の娘お大は十四歳で岡崎城主松平広忠に嫁ぎ、嫡男竹千代を産む。だが、忠政の跡を継いだ、お大の兄・信元が織田方に寝返ったため、離縁され、幼い息子と生き別れた。久松俊勝と再婚後、竹千代が今川義元方へ人質に出されることを知る。我が子の無事を祈るお大は、命がけの行動に……。
徳川家康の功績の一つに、戦国時代に終止符を打ち、戦なき世をつくったことが挙げられます。なぜ、このようなことが実現できたのでしょうか。戦乱の世を生き抜いた家康の母、お大の影響があるのかもしれません。
本書は、家康の母お大の、波瀾に満ちた生涯を描いた戦国時代小説です。若き日のお大の姿が生き生きと描かれています。
植松さんは、家康の二男秀康を描く『家康の子』、秀忠の正室を描く『お江 流浪の姫』と、これまでも家康を核に波瀾に満ちた生涯を送る人物に光を当ててきました。あわせて読みたいところです。
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『家康の母お大』
『家康の子』(中公文庫)
『お江 流浪の姫』(集英社文庫)