誉田龍一(ほんだりゅういち)さんの『使の者の事件帖(三) 何れ菖蒲か杜若』が、双葉文庫より刊行されました。猪三郎、鹿之丞、お蝶の三人組の若者・猪鹿蝶が事件を解決する痛快時代小説シリーズの第三弾です。
門前仲町の錦絵の版元が「美女入れ札」を開催する。第一位と第三位は誰もが納得する美形だったが、第二位の女はどう見ても美女とは言い難い容貌で疑問の声が噴出する。その翌日、第三位、第二位の女が立て続けに殺され、第一位の女の許婚だった男が下手人に浮上する。「使いの者」の猪三郎らが調べを進めたところ、事件の意外な真相が明らかになる……。
「使(つかい)の者」とは、遊女屋などで、言伝をしたり、手紙や品物を届けたり、ちょっとした手伝いや頼まれごとを引き受ける仕事であり、猪三郎はそれを生業にしています。
猪三郎と団扇の張替屋の鹿之丞、楊枝屋の看板娘のお蝶の三人は、長崎で親捨てられた若者たち。南町奉行の筒井和泉守政憲が前職の長崎奉行であったときに拾われて、筒井の家臣・村雨卯之助によって育てられ、格闘術、柔術、忍びの技、暗殺術を叩きこまれた。筒井が江戸南町奉行に栄転すると、内与力となった村雨について三人は江戸に出てきていた。
南町奉行所の役人が絡む難事件、手強い相手も登場します。猪鹿蝶、三人の漫才のようなやり取りも楽しみのひとつ。
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『使の者の事件帖(一) 女湯に刀掛け』
『使の者の事件帖(二) 口に蜜あり腹に剣あり』
『使の者の事件帖(三) 何れ菖蒲か杜若』