上田秀人さんの『百万石の留守居役(六) 使者』(講談社文庫)。加賀藩前田家の若き留守居役、瀬能数馬が活躍する人気シリーズの第六弾です。
加賀藩藩主前田綱紀の亡くなった正室は、親藩の会津保科家から迎えていた。格別な関係の保科家へ、若き留守居役瀬能数馬が使者として派遣された。前田家の継室は、幕府も各藩も狙っている。老練な者でも難しい微妙な相談事、その相手は会津藩保科家の国家老の西郷頼母。そして、難題に奔走する数馬に仇敵が襲いかかる……。
会津藩と聞くと幕末の松平容保の印象が濃いせいで、二代将軍徳川秀忠の四男保科正之が藩祖であり、五代将軍に綱吉が就いたころは保科家と名乗っていたことを知りませんでした。正之は将軍の実弟であり親藩ながら謙虚に、当初は松平姓の名乗りも固辞し続けていたそうで、正之の子の正容から松平姓に変えたそうです。
数馬が下野街道から会津へ赴き、会津藩家老の西郷頼母(幕末の同名の家老は9代目)と面会するという、物語の新たな展開が楽しみです。
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『百万石の留守居役(六) 使者』
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