剣士の薬膳 赤い鬼|氷月葵|コスミック時代文庫
氷月葵(ひづき・あおい)さんによる文庫書き下ろし時代小説、
『剣士の薬膳 赤い鬼』(コスミック時代文庫)を本棚にお迎えしました。
若き薬膳師・清河涼安(きよかわ・りょうあん)が、得意の剣術と薬膳で人々を救う、江戸薬膳小説シリーズの第2弾です。
著者について
氷月葵さんは、2022年に「御庭番の二代目」シリーズ、「神田ののっぴき横丁」シリーズ(以上、二見時代小説文庫)、「仇討ち包丁」シリーズ(コスミック時代文庫)で、第11回日本歴史時代作家協会賞シリーズ賞を受賞。 近作には、「密命はみだし新番士」シリーズ(二見時代小説文庫)や「すずめのお師匠」シリーズ(角川文庫)があり、文庫書き下ろし時代小説で活躍する気鋭の作家です。
物語のあらすじ
剣と薬膳で命を救う「食医」清河涼安の活躍。
清河涼安は、赤鬼の面をつけた男に襲われている商家の手代を助けます。偶然にも、その手代は小間物屋『宝来屋』の内儀の使いで、涼安に薬膳の依頼をしに来るところでした。
涼安は、もとは徒士を継ぐべく幼少のころから剣術を学んでいましたが、父の失職をきっかけに漢方医・柴垣青山の弟子となり、「食医」を目指す道を選びます。本草学を活かした薬膳料理は大評判を呼び、名を上げていきます。
やがて、『宝来屋』の者だけが鬼面の男に襲われていることを知った涼安は、「赤鬼退治」を依頼されることに――。
鬼面の男の正体とその動機とは? そして、依頼通りに内儀の体質改善はできるのか?
美肌効果のある料理も登場する、至高の薬膳時代小説第2弾です。(『剣士の薬膳 赤い鬼』カバー裏紹介文より抜粋・編集)
ここに注目!
本書の主人公・清河涼安は、御徒組の徒士の家に生まれ、幼少期より剣術の修行に励んでいました。ところが、父が上役の不正に巻き込まれて失職し、進路を転じて漢方医・柴垣青山(しばがき・せいざん)の弟子となります。師匠から「涼安」の名を与えられた彼は、修行の一環として始めた養生食が旗本や大店に評判となり、薬膳を求められるようになっていきます。
今回、涼安は大店『宝来屋』の内儀・おふくより、体質改善のための薬膳を依頼されます。四十を迎え、近頃しわが気になり始めたおふくに対し、涼安はその体質を陽の気が強いと診立て、肌を整え身体を冷やす工夫を凝らした薬膳を用意します。
一方、『宝来屋』では、赤鬼の面をつけた男による襲撃事件が相次ぎ、被害は店の手代や小僧に集中していました。巾着を差し出せば難を逃れられることから、主の庄右衛門は商売敵の嫌がらせだと考え、役人に訴えることもありません。
そんな折、襲撃現場に居合わせた涼安は、偶然にも手代を助けたことから、赤鬼退治を依頼されることになります――。
薬膳と剣で人の命を救う「食医」清河涼安。
果たして彼は、赤鬼の正体を暴き、内儀のお悩みを解決する美肌薬膳を作ることができるのでしょうか。
今回取り上げた本
書籍情報
剣士の薬膳 赤い鬼
氷月葵
KADOKAWA・コスミック時代文庫
2025年4月25日初版発行
カバーイラスト:山本祥子
カバーデザイン:二見亜矢子
目次:
第一章 鬼面の男
第二章 女医者
第三章 お払い箱
第四章 因果の糸車
第五章 鬼の行方
本文276ページ
文庫書き下ろし
