『象が来たぞぉ(三) くノ一忍湯帖』|風野真知雄|PHP文芸文庫
風野真知雄さんのユーモア時代小説シリーズの第3弾、『象が来たぞぉ(三) くノ一忍湯帖』が本棚に加わりました。
「象が来たぞぉ」シリーズは、「いい湯じゃのう」シリーズの続編として執筆された新聞連載小説を文庫オリジナルで刊行した作品です。本書は、シリーズ全3巻の完結編となります。
あらすじ
湯煙り権蔵とくノ一・あけびは、ついに松尾芭蕉の旅の供をしていた曽良の正体に辿り着きます。
さらに、奥州藤原氏の大金塊を手に入れるためには象が必要不可欠だと気づき――。
一方で、象にまとわりついていた唐人屋敷の者たちの陰謀も明らかになります。将軍の身に魔の手が迫る中、桃子は起死回生の策をひねり出します。そして、仙台藩と幕府の因縁の決着の行方は――?ユーモア時代小説の第一人者・風野真知雄さんが描く傑作シリーズ、堂々の完結巻です!
(カバー裏の説明文より抜粋・編集)
ここがポイント
くノ一姉妹は、将軍・徳川吉宗の暗殺を阻止できるのでしょうか?
前シリーズから引き続き、徳川吉宗、湯煙りの権蔵、くノ一・あけび、人気芸者の桃子、町火消〈い組〉の纏持ち・丈次とその子分・三太が登場します。
本作ではさらに、あけびの妹で同じくくノ一のあわび、あわびとともに象の旅を監視するお庭番・与惣次も加わり、物語は一層にぎやかさを増しています。
広島から大坂、そして京へと進む象の一行は、道中でさまざまな珍騒動を巻き起こします。
一方、権蔵とあけびは、奥州藤原氏の金塊の行方を追って伊達藩領に潜入し、金塊の鍵を握る芭蕉の旅の供・曽良の正体に迫ります。
さらに、伊達政宗が創設した仙台藩の忍者集団・黒脛巾組(くろはばきぐみ)も登場し、物語はさらに展開していきます。
ユーモア時代小説の人気シリーズは、どのような形で完結を迎えるのでしょうか?
最後まで目が離せない一冊です!
今回取り上げた本
書籍情報
『象が来たぞぉ(三) くノ一忍湯帖』
風野真知雄
PHP研究所・PHP文芸文庫
2025年4月22日 第1版第1刷
装丁:芦澤泰偉+明石すみれ
装画:おとないちあき
目次
第一章 象は虎になるか
第二章 象の見世物
第三章 象の大出世
第四章 よみがえった曽良
第五章 象は連れてきたか?
第六章 京を出るまで
第七章 あけびとあわび
第八章 凶器は鼻
第九章 象は倒れ、くノ一は戦う
第十章 巨象と将軍
終章 芭蕉の微笑
本文269ページ
初出:
本書は、2023年2月から2025年1月にわたって、『河北新報』『南信州新聞』『長野日報』『桐生タイムス』『大分合同新聞』『北鹿新聞』『三條新聞』『山梨日日新聞』『北海民友新聞』など各紙に順次掲載された作品を加筆修正したもの。
