2025年4月刊行の双葉文庫が本棚に加わりました!
今月は超強力な作品が7冊登場するので、Part 1とPart 2に2回に分けて紹介します。
まずは、4冊。
2025年秋にテレビドラマ化が決定した坂上泉さんの『渚の螢火』、シリーズ累計35万部を突破した芝村凉也さんの『北の御番所 反骨日録(十三) 凶手』、へっぽこ三人組の珍道中が楽しい稲葉稔さんの『へっぽこ膝栗毛(三)』、さらに北方謙三さんの『鬼哭の剣 日向景一郎シリーズ(四)〈新装版〉』(伝説の剣豪小説シリーズの新装版)など。
『渚の螢火』
カバーデザイン:bookwall
カバーイラストレーション:鈴木理子
あらすじ
1972年春、本土復帰を控えた沖縄では、それまで使用していたドル札を円に交換する必要があった。島中から現金を回収する中、輸送車が襲われ、100万ドル(当時のレートで3億円以上)が奪われてしまう。高度な外交問題に発展する可能性があるため、琉球政府と琉球警察は事件の秘匿と復帰当日である5月15日までの解決を日米両政府に命じる。
任務を受けた警部補・真栄田太一は、さまざまな葛藤を抱えつつ事件解決に挑むが――。昭和史ミステリーの新鋭が描く、ノンストップサスペンス。
(カバー裏の説明文より抜粋・編集)
ここに注目!
著者は2019年に第26回松本清張賞を受賞し、受賞作を改題した『へぼ侍』でデビュー。
同作は2020年に第9回日本歴史時代作家協会賞も受賞。さらに、二作目『インビジブル』では第164回直木賞候補となり、第23回大藪春彦賞、第74回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞しています。
沖縄本土復帰前夜の緊張と混乱を活写した、昭和史ミステリーの傑作。
2025年秋、WOWOWでのテレビドラマ化(主演・高橋一生)も決定し、ますます注目の一冊です。
手垢のついていない時代と題材を用いた、読み応え抜群のノンストップサスペンス。
目次
序章 赤い喪失
第一章 灰色の帰還
第二章 黒い着火
第三章 白亜の計略
第四章 新緑の暴発
第五章 瑠璃の清算
最終章 螢火の渚
解説 谷津矢車
2025年4月12日 第1刷発行
本文341ページ
本作は2022年4月刊行の同名単行本を文庫化したものです。

『北の御番所 反骨日録(十三) 凶手』
カバーデザイン・イラスト:遠藤拓人
あらすじ
南町奉行所の定町廻り同心・内藤小弥太が、市中見回りの帰路、何者かに襲われた。命に別状はなかったものの、北町奉行所の裄沢広二郎に反感を抱く内藤への襲撃により、南町では裄沢に疑念の目が向けられ始める。
さらに今度は、北町の定町廻り同心が八丁堀近くで背後から襲撃される事件が発生。両奉行所の同心たちは警戒を強めつつ捜査を開始するが、間もなく第三の被害者が――。
同心ばかりを狙う暴漢の正体とは? そしてその動機とは!? 書き下ろし痛快時代小説、大人気シリーズ第十三弾!
(カバー裏の説明文より抜粋・編集)
ここに注目!
剣の腕はからっきしだが、機転と洞察力、そして弁舌に秀でた北町同心・裄沢広二郎。
友のため、庶民のためなら組織の論理にもとらわれず、謹慎も左遷も恐れない“やさぐれ同心”です。
表題作は、前巻『南北相克』の後日談。南町との確執を軸に、シリーズファンには嬉しい展開が続きます。
捕物劇とともに、探索・吟味の現場を通じて、奉行所という組織の実像をリアルに描いた“奉行所小説”の面目躍如たる好編です。
また、第一話「漂泊する歌姫」では、和歌を得意とし、公家の娘とも噂される遊女の奇譚を通じて、江戸時代における“歌姫”像を巧みに描いています。
目次
第一話 漂泊する歌姫
第二話 凶手
第三話 ならず者の表裏
2025年4月12日 第1刷発行
本文303ページ
文庫書き下ろし

『へっぽこ膝栗毛(三)』
カバーデザイン:國枝達也
カバーイラストレーション:伊野孝行
あらすじ
東海道を西へ向かう新兵衛たち“へっぽこ三人組”は、掛川宿で娘の病を案じる老父を助け、旅の途中で見付宿まで同行することに。
浜松宿では、一揆に手を貸し国を追われた侍の頼みに応じ、二川宿へ向かう。さらに、泣きながら親を探す迷子と出会い、家族を探す旅が加わるなど、騒動と出会いの連続。
“旅は道連れ、世は情け”。笑いと涙が織りなす傑作時代小説シリーズ第3弾!
(カバー裏の説明文より抜粋・編集)
ここに注目!
札差の若旦那・新兵衛が商売の知恵と見聞を得るため、太鼓持ちの和助、用心棒の稲妻五郎とともに旅に出る珍道中。
今巻では、島田宿から掛川宿、見付宿、浜松宿、二川宿、新居宿、赤坂宿まで――。
宿場の風景や名物も楽しめる、『東海道中膝栗毛』を彷彿とさせる、軽妙で人情味あふれる時代旅物語です。
目次
第一章 大井川
第二章 掛川の騒動
第三章 逃亡者
第四章 早暁の別れ
第五章 迷子
第六章 吉田大橋
2025年4月12日 第1刷発行
本文279ページ
文庫書き下ろし

『鬼哭の剣 日向景一郎シリーズ(四)〈新装版〉』
カバーデザイン:高柳雅人
カバーイラストレーション:ゴトウヒロシ
あらすじ
「兄・景一郎といつか斬り合う運命にある」――そう言われて育った日向森之助は、15歳に成長していた。
薬種問屋の使いとして訪れた糸魚川で、海女のお鉄と出会う森之助。平穏な日々も束の間、最強の敵・柳生流が森之助たちの前に立ちはだかる。
兄・景一郎や仲間たちと共に、森之助は血飛沫舞う激戦へと身を投じていく。
北方謙三が描く、伝説の剣豪小説シリーズ第4弾。
(カバー裏の説明文より抜粋・編集)
ここに注目!
双葉文庫より5カ月連続刊行中の「日向景一郎シリーズ」第4巻。
今巻では、弟・森之助の急成長が描かれ、若き剣客としての戦いが本格化します。兄・景一郎と合流後、最強の敵・柳生流との死闘へ。
また、物語中では『鞍馬天狗』などで知られる大佛次郎の作品にも登場する「越後獅子(月潟村)」が重要な役割を果たします。
以前に刊行された新潮文庫版を読んだ時の投稿記事も参考までにリンクを張っておきました。

目次
第一章 囚徒
第二章 霧中
第三章 無明の岸
第四章 さざ波
第五章 帰るべき地
第六章 風塵
第七章 おにがみ
第八章 日向流
第九章 残りし者
解説 池上冬樹
2025年4月12日 第1刷発行
本文514ページ
『絶影の剣 日向景一郎シリーズ 4』(新潮文庫・2006年刊)を新装版刊行にあたり加筆修正したもの。

双葉文庫の2025年4月発行の時代小説新刊は、まだまだあります。
続きはPart 2をご覧ください。