『人よ、花よ、(上)』『人よ、花よ、(下)』|今村翔吾|朝日新聞出版
2025年4月1日から4月末日の間に、単行本(ソフトカバー含む)で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2025年4月の新刊(単行本)」を公開しました。
今月の注目作は、今村翔吾さんによる歴史長編小説『人よ、花よ、(上)』『人よ、花よ、(下)』(朝日新聞出版)です。
本作は、楠木正成の息子・楠木正行(まさつら)を主人公に描いた物語で、朝日新聞にて2020年8月15日から2023年3月31日まで連載された作品を、単行本化としたものです。
あらすじ
軍神と称えられた楠木正成を父に持つ正行は、戦のない世を願い、北朝に降る決意を固めます。 それは、南朝を頼みにしていた者たちにとっては裏切りに等しく、南朝の存亡を揺るがす選択でもありました。
正行は、楠木党の強さを誇示することで北朝の厭戦気分を高め、和議を導こうと策を講じます。北朝に降ることを前提とした戦で勝利を重ね、和平の実現が目前に迫ったとき、物語は思わぬ方向へと展開していきます――。(※上記は『人よ、花よ、(上)』『人よ、花よ、(下)』Amazon内容紹介より抜粋・編集)
読みどころ
『茜唄』で「平家物語」の世界を現代的な歴史小説として再構築した今村翔吾さんが、本作では『太平記』の時代に挑みます。
楠木正行(幼名:多聞丸)は、「南北朝の第二世代」として登場し、天皇への忠義に身を捧げ、偉大な父・正成への思慕を抱きつつ、自らの進むべき道を探し、葛藤する人物として描かれていきます。
南北朝時代は、日本史の中でも珍しい、二つの政権(南朝と北朝)が併存した複雑な時代です。両朝の対立のみならず、北朝内部の政争や和睦の駆け引きも絡み合い、まさに激動の時代といえるでしょう。その一方で、現代の読者にはやや理解しづらい時代でもあります。
今村さんは、新聞連載という一回あたりの文字数に制限がある中で、登場人物たちの会話を通じて、南北朝の時代背景をわかりやすく伝えてくれます。
表紙装画は、新聞連載時の挿絵を担当された北村さゆりさん!
正行はこの時代を、どのようにして生き抜いたのでしょうか。
読み始める前から、胸が高鳴るような一冊です。

今回取り上げた本
