『盗っ人から盗む盗っ人 2 盗っ人問屋』 『川流れ慕情 あやかし捕物帖3』 『米価の闇 剣客旗本と半玉同心捕物暦5』
2025年2月下旬に刊行された、二見時代小説文庫の新刊3冊をご紹介いたします。
藤水名子さんによる『盗っ人問屋』は、痛快な盗賊シリーズ第2巻です。
奈良谷隆さんの『川流れ慕情』は、鬼の気を持つ岡っ引き・妙(たえ)が活躍する人気シリーズの第3弾。
早見俊さんの『米価の闇』は、米不足が話題となる今こそ読みたい、時代を映す一冊です。
今月の3作品の装画はいずれも安里英晴さんが手がけています。
盗っ人から盗む盗っ人 2 盗っ人問屋
カバーイラスト:安里英晴
カバーデザイン:ヤマシタツトム(ヤマシタデザインルーム)
盗賊から盗んだばかりの金箱を奪う、狐面をつけた黒装束の男たち。それは《唐狐(からぎつね)》と呼ばれる一味の仕業でした。かつて盗賊に両親と奉公人を殺され、生き残った廻船問屋の一人息子と手代が、小間物屋を表の顔に、新たな盗っ人稼業に手を染めることに。
「盗っ人から盗む盗っ人」という、早口言葉のようなユニークなタイトルも印象的なシリーズ第2弾です。
あらすじ
娘たちに人気の小間物屋の正体は盗っ人《唐狐》。
錺簪(かざりかんざし)で江戸の娘たちから人気を集める小間物屋《高麗屋》。その主・東次郎は、老舗呉服問屋《出羽屋》庄右衛門の宴席に招かれます。しかし《高麗屋》の裏の顔は、悪名高い盗っ人からさらに盗む《唐狐》でした。
宴席では母違いの兄弟とされる《唐津屋》源兵衛と出会いますが、どこか危険な香りを漂わせる男。探りを入れるうちにその闇が明らかになり、
《唐狐》は欲に目がくらんだ《唐津屋》に罠を仕掛けます——。
(『盗っ人から盗む盗っ人 2 盗っ人問屋』のカバー裏面の紹介文より抜粋・編集)
今回取り上げた本
目次
序
第一章 義賊《すめらぎ小僧》
第二章 悪女の本懐
第三章 明けない夜
第四章 ただならぬ悪意
第五章 盗っ人問屋
2025年4月25日 初版発行
本文293ページ
文庫書き下ろし

川流れ慕情 あやかし捕物帖3
カバーイラスト:安里英晴
カバーデザイン:ヤマシタツトム(ヤマシタデザインルーム)
妙は、御用の最中に命を落とした兄の跡を継ぎ、足腰の弱った父に代わって岡っ引きとなりました。鬼の気を宿す妙は、同心・麻生真之助や学問所に勤める若者・百瀬虎太郎とともに、人の仕業とは思えない「あやかし事件」に挑みます。シリーズ第3巻です。
あらすじ
水に棲むあやかしと闘う!
大川に誤って落ちた廻船問屋《川津屋》の娘・お春を救った妙。彼女を川に引き込んだのは、人のはらわたを喰らうという河童の仕業なのでしょうか?
川津屋に隣接する酒問屋《摂津屋》の主・宗右衛門は、川津屋の乗っ取りをたくらんでいるようですが、その正体には驚くべき秘密が隠されています。親玉と妖怪たちを相手に、妙たちは果敢に立ち向かいます。川津屋を守ることができるのでしょうか——。
(『川流れ慕情 あやかし捕物帖3』のカバー裏面の紹介文より抜粋・編集)
今回取り上げた本
目次
序 水底に光る眼
第一章 江戸に来た河童たち
第二章 片恋は流れのままに
第三章 風雲はらむ大川暮色
第四章 愛憎と悲喜こもごも
第五章 恋の行方は風まかせ
第六章 名残雪に舞う花吹雪
2025年4月25日 初版発行
本文277ページ
文庫書き下ろし

米価の闇 剣客旗本と半玉同心捕物暦5
カバーイラスト:安里英晴
カバーデザイン:ヤマシタツトム(ヤマシタデザインルーム)
香取民部は、蘭方医の道を諦め、亡き兄の跡を継いで南町奉行所の定町廻りとなりました。ただし、まだ見習いで、芸者で言えば玉代半分の「半玉同心」です。
そんな民部を支えるのは、剣客旗本・船岡虎之介。彼は大目付・岩坂備前守の命を受け、大名家の闇を暴こうとしていました。武芸には不安が残る民部ですが、虎之介の弟子として修行を重ね、同心としても成長していきます。師弟の活躍が楽しみなシリーズ第5巻です。
あらすじ
米価高騰の裏に潜む陰謀とは——
「米屋が米を売り惜しみ、米価が暴騰する」という噂が江戸の町に流れました。悪徳商人として名の上がった《駿河屋》も打ちこわしの対象になりますが、当主・文左衛門はなぜか余裕の表情。
ところが金蔵で胸に包丁が刺さった男の死体が発見され、背後には巨額の金が動く賭場の存在が見えてきます。老中の密命を受けた「清掃組」が乗り出しますが、果たして彼らは正義か、それとも悪か——。
(『米価の闇 剣客旗本と半玉同心捕物暦5』のカバー裏面の紹介文より抜粋・編集)
今回取り上げた本
目次
第一章 打ちこわし
第二章 般若の賭場
第三章 真っ黒な清掃
第四章 通人の本性
第五章 清掃の果て
2025年4月25日 初版発行
本文300ページ
文庫書き下ろし
