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【新着本】『美味しい推理で謎解きを たべもの×ミステリアンソロジー』

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美味しい推理で謎解きを たべもの×ミステリアンソロジー|友井羊・矢崎存美・深緑野分・近藤史恵・細谷正充(編)|双葉文庫

おいしい推理で謎解きを たべもの×ミステリ アンソロジー (双葉文庫)友井羊(ともい・ひつじ)さん・矢崎存美(やざき・ありみ)さん・深緑野分(ふかみどり・のわき)さん・近藤史恵(こんどう・ふみえ)さんという人気作家の競演、『美味しい推理で謎解きを たべもの×ミステリアンソロジー』(双葉文庫)が新たに本棚に加わりました。

「料理」と「推理」——どちらも「理(り)」という字を含みながら、普段は交わることのない言葉です。「料理」では「整える」、「推理」では「筋道を立てる」という意味で使われ、それぞれ異なる役割を持っています。本書は、そんな「料理」と「推理」が絶妙に絡み合う、なんとも“おいしい”コンセプトのアンソロジー。ミステリーファンはもちろん、そうでない方も楽しめる作品集です。

本書の選者は、文芸評論家細谷正充(ほそや・まさみつ)さん。人気ミステリー作家たちの作品を厳選し、心温まる(時にはヒヤリとする)物語を収めました。

私自身、普段は細谷さんが選んだ時代小説のアンソロジーを楽しんでいますが、今回は気分を変えて現代ミステリーを読んでみることにしました。通勤時間や昼休みにサクッと読める“軽さ”と“薄さ”も魅力的。凝り固まった「時代小説脳」をリセットするのにぴったりの一冊です。

物語のあらすじ

“おいしいと”と“謎”で紡がれる珠玉の物語集

早朝にひっそりと営業するスープ屋の、心と体に沁みる絶品ポトフ。
人の言葉を話すぶたのぬいぐるみ(!)がすすめる、酸っぱくて甘いレモンパイかき氷。
大雨の中、隣町から少女がわざわざ食べにくる、バルサミコ酢で和えたトマトのサラダ。
口の中でとろける、話題の専門店が作る甘くてにがいチョコレート。
4人の人気作家が描く、極上のミステリー。
美味しい食べ物の先にある、温かくて時にヒンヤリする結末は、何度でも味わいたくなります。

(※カバー帯およびAmazon紹介文より抜粋・編集)

収録作と著者紹介
このアンソロジーは、文芸評論家・細谷正充さんが厳選し、巻末に解説を付した特別な作品集です。

「嘘つきなボン・ファム」|友井羊
2011年『僕はお父さんを訴えます』で第10回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞。収録作は著者の代表作『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』シリーズの一編。シリーズは2025年2月時点で9巻まで刊行されています。

「レモンパイの夏」|矢崎存美
1985年第7回星新一ショートショートコンテスト優秀賞を受賞。本作が収められた「ぶたぶた」シリーズは、32巻まで発行されている人気シリーズで、人の言葉を話すぶたのぬいぐるみが活躍します。

「大雨とトマト」|深緑野分
2010年、「オーブランの少女」で第7回ミステリーズ!新人賞佳作を受賞しデビュー。
その後、
2016年『戦場のコックたち』
2019年『ベルリンは晴れているか』
2022年『スタッフロール』
で直木三十五賞候補に選ばれるなど、注目の作家です。

「割り切れないチョコレート」|近藤史恵
1993年、『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。
2008年、『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞を受賞。
ミステリーだけでなく時代小説も手がけており、芝居小屋を舞台にした「猿若町捕物帳」シリーズも人気です。

気軽に楽しめる“食×ミステリー”の魅力
食べ物をテーマにしたミステリー作品は多くありますが、本書は殺人などの凶悪犯罪を扱わず、心温まる読み味の良い作品を集めているのが特徴です。また、収録作品数を抑えることで、手軽に買えて、気軽に読める一冊に仕上がっているのもポイント。

「読み応えのある長編はちょっと重い…」というときに、サクッと読める軽やかさを持ちながら、味わい深い余韻が残る、名アンソロジストならではの気配りが詰まった作品集です。
ぜひ、お手元に一冊いかがでしょうか?

今回取り上げた本
書籍情報

美味しい推理で謎解きを たべもの×ミステリアンソロジー
友井羊・矢崎存美・深緑野分・近藤史恵・細谷正充(編)
双葉社・双葉文庫
2025年2月15日第1刷発行

カバーデザイン:bookwall
カバーイラストレーション:一色十秋

目次
第一話 友井 羊「嘘つきなボン・ファム」
第二話 矢崎存美「レモンパイの夏」
第三話 深緑野分「大雨とトマト」
第四話 近藤史恵「割り切れないチョコレート」

解説 細谷正充

本文197ページ

底本一覧
「嘘つきなボン・ファム」『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』(宝島社文庫、2014年刊)
「レモンパイの夏」『名探偵ぶたぶた』(光文社文庫、2021年刊)
「大雨とトマト」『オーブランの少女』(創元推理文庫、2016年刊)
「割り切れないチョコレート」『タルト・タタンの夢』(創元推理文庫、2014年刊)

友井羊|作品ガイド
友井羊|ともいひつじ|小説家1981年、群馬県生まれ。2011年、『僕はお父さんを訴えます』で第10回「このミステリーがすごい!」大賞優秀を受賞し、2012年にデビュー。時代小説SHOW 投稿記事著者のホームページ・SNS友井羊@小説家 @...
矢崎存美|作品ガイド
矢崎存美|やざきありみ|小説家1964年、埼玉県生まれ。1985年、第7回星新一ショートショートコンテスト優秀賞受賞。時代小説SHOW 投稿記事著者のホームページ・SNS矢崎存美|note矢崎存美@7/12発売『湯治場のぶたぶた』(@yaz...
深緑野分|作品ガイド
深緑野分|ふかみどりのわき|小説家1983年、神奈川県生まれ。2010年、「オーブランの少女」で第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入線、2013年に同作を含む同名の短編集でデビュー。2016年、『戦場のコックたち』で第154回直木三十五賞の候...
近藤史恵|時代小説リスト
近藤史恵|こんどうふみえ|作家1969年、大阪府生まれ。1993年、『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。2001年、時代小説『巴之丞鹿の子 猿若町捕物帳』を発表。2008年、『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞を受賞。時代小説...
細谷正充編|時代小説ガイド
細谷正充|ほそやまさみつ|文芸評論家・書評家1963年生まれ。時代小説、ミステリーなどのエンターテインメントを対象に、評論・執筆。自宅に20万冊という膨大な書庫を持つ蔵書家。2018年より、優れたエンターテインメント小説5作品を選出して「細...