『月の王』|馳星周|角川文庫
2025年2月21日から2月28日に刊行予定の文庫新刊情報として、 「2025年2月下旬の新刊(文庫)」を公開いたしました。
今回、特に注目したいのは、馳星周(はせ・せいしゅう)さんのアクション長編小説『月の王』です。本作は、大戦の暗雲が迫る中国・上海を舞台にした作品で、壮大なスケールのストーリーが展開されます。
著者について
馳星周さんは、『不夜城』や『漂流街』など、外国人マフィアややくざ、不良少年など暗黒社会に生きる者たちを描く暗黒小説(ロマン・ノワール)の旗手として知られています。その後、藤原不比等を描いた歴史小説『比ぶ者なき』や、競走馬をテーマにした『黄金旅程』など、幅広いジャンルで優れた作品を発表されてきました。2020年には『少年と犬』で第163回直木三十五賞を受賞しています。
あらすじ
暴力と陰謀が渦巻く都市・上海。帝国陸軍の特務機関に所属する伊那雄一郎は、駆け落ちした侯爵令嬢・一条綾子を確保する密命を受ける。彼とともに任務に就くのは、普段は天皇の護衛を務めるという異様な殺気を放つ男・大神。
しかし、2人が動き出した直後、中華民国の特務機関・藍衣社による急襲を受ける。彼らを率いるのは、中華最強と名高い戦闘集団の指揮官。壮絶な戦いの幕が切って落とされる――。
史上最大級の迫力で描くアクション超大作。(『月の王』(角川文庫)Amazonの紹介文より抜粋・編集)
本書について
最近注目を集めている、昭和前期の中国・上海を舞台にした時代小説。
大戦を目前に控え、水面下で暗闘が繰り広げられる混乱と熱狂の上海。駆け落ちした華族令嬢を探す命を受けた陸軍特務機関の伊那。蔣介石直属の国民政府の情報・工作機関藍衣社をはじめ、各国の特務機関やマフィアが入り乱れ、上海租界に血の雨が降る――。本作では、馳星周さんの得意とするハードなアクションが存分に楽しめるエンターテインメント作品となっています。
また、主人公・伊那とバディを組む謎の男・大神明(おおがみ・あきら)は、平井和正さんの『狼男だよ』の「ウルフガイ」シリーズへのオマージュが込められている点にも注目です。
「ウルフガイ」シリーズの主人公・犬神明(いぬがみ・あきら)は、平井和正さんによるSFハードボイルド小説のキャラクターです。このシリーズには、中学生の犬神を描いたヤング・ウルフガイと、大人の犬神を描いたアダルト・ウルフガイがあり、本作は後者をモチーフにしているようです。

今回ご紹介した本
